東日本大震災で止まってしまった妙本寺山門横にある比企谷(ひきがやつ)幼稚園(中村邦彦園長)の古時計。専門家から「再生不可能」と言われたものの、卒園生らの働きにより修理が実現した。12月7日の創立75周年に先立ち、1日に行われた歌や遊戯の発表会で古時計の除幕式を実施。1年8カ月ぶりに子どもたちの頭上で再び時を刻み始めた。
この古時計は直径50cm、重さ10kgに近い大型のもの。1937年の開園から、ホールとして利用されている「八角堂」で子どもたちの成長を見守ってきた。
70年以上動き続けた古時計が、昨年3月11日午後3時39分に、揺れの影響で停止。初めての故障に、中村園長ら職員がいくつかの専門店に持ち込むも「戦前の電気系統を使用しているから、直すのは難しい」と断られ続けたという。
そんな折、卒園生から古時計を復活させたいとの声があがった。有志らで修理可能な業者探しに奔走し、東京都杉並区の専門店で引き受けてもらうことに。
電源装置を電池式に変えることで復活した古時計は、11月28日に同園に届けられ、白く日焼け跡が残るホールの定位置に再びかけられた。修理の際、錆と一緒に白い塗装が落ち以前より黒ずんだものの、帰ってきた古時計に園児たちは大喜びだった。
発表会で除幕式
古時計は、発表会の冒頭に園児6人と中村園長、早水日秀理事長によって除幕され、ホールに集まった200人以上の園児、保護者らに披露された。
片山由喜子副園長がこの日のために童謡「大きな古時計」のメロディーにオリジナルの詞を乗せた。「もうだめだとあきらめた時・奇跡が起こった・修理の達人現れて・時計をなおしたのさ」と再生の意味が込められた詞を園児全員で歌い上げた。
毎年恒例である発表会では、古時計の除幕に合わせて、園児たちから歌詞を募集し保護者の杉本正明さんが作曲した「ひきがやつっこのうた」の合唱や卒園生の保護者、平戸祐介さんによるピアノ演奏などの特別企画が盛り込まれた。
中村園長は「この時計が止まった時、被災地では沢山の子どもたちが辛い目にあった。園児たちとは復興に思いを馳せながら、一歩ずつ前に進もうと約束した」と話した。
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