ユネスコの諮問機関イコモス(国際記念物遺跡会議)による世界遺産候補の評価結果が4月30日に発表され、「武家の古都・鎌倉」は「不記載(登録不可)」の勧告がなされた。登録の可否は6月の世界遺産委員会(カンボジア・プノンペン)で正式に決定するが、過去に不記載から登録された例はなく、国や関係4県市は難しい判断を迫られている。
「重要性示せていない」
文化庁が発表したイコモスの評価結果と勧告の概要によれば「鎌倉の歴史的重要性」については評価する一方で、精神・文化面以外の物的証拠が少ないとして、現在の資産の状況では「鎌倉の歴史的重要性が十全な形で示されていない」とした。また「周辺が都市化されていることの影響も無視できない」として観光地化、住宅地化している現状への懸念も示した。
「不記載(登録不可)」は4区分の評価結果のうち最低ランク。過去に世界遺産委員会で「記載」へと変更された例はなく、今回鎌倉が世界遺産登録される可能性は事実上なくなった。
鎌倉が世界文化遺産の暫定リストに掲載されたのは1992年。その後、学術的な調査を経て2004年に「武家の古都・鎌倉」の方向性が示され、昨年1月に文化庁からユネスコに対して正式に推薦された。
市内では06年に「鎌倉世界遺産登録推進協議会」が設立され、官民一体で登録の機運を盛り上げてきただけに、想像以上の低評価は衝撃をもって受け止められた。松尾崇市長は発表翌日の5月1日、コメントを発表し「大変残念な結果であり、登録を心待ちにしてきた市民の皆様には大変申し訳ない」と悔しさをにじませた。
「対応早急に判断」
今後は世界遺産委員会の前に推薦を取り下げ、改めて登録に挑戦するか、委員会で記載延期などへ評価の「昇格」を図ることになる。委員会で不記載と判断されると、二度と推薦することができないため、国や関係4県市は慎重な判断を求められることになりそうだ。市世界遺産登録推進担当では「関係団体で話し合い、早急に今後の対応を決めたい」としている。
鎌倉版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|