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シリーズ vol.1 匠たちの肖像「日本の庭づくりの良さ、受け継ぎたい」

経済

掲載号:2014年12月12日号

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(株)岩崎造園社長岩崎  積さん(73歳)
(株)岩崎造園社長岩崎 積さん(73歳)

 優れた技術や知識を有し、各分野の第一人者として活躍する技能者を県が表彰する「神奈川の名工」が、先月発表された。本紙では鎌倉市内から選出された3人の「匠」の横顔を紹介する。第1回は市内笛田の造園師、岩崎積(つもる)さん(73歳)。岩崎さんは気候、風土に合った樹木剪定や庭造りの高い技術を有し、数々の国際的なコンクールで入賞、海外での施工実績などが評価された。

「鎌倉だから成長できた」

 岩崎さんは市内二階堂で生まれ育った。父も造園師で「子どもの頃からよく現場に連れて行かれた」という。高校卒業後、2年ほどサラリーマン生活を送ったが「毎日同じことの繰り返し。すぐに飽きちゃった」と父の働いていた造園会社へ。職人としての日々がスタートした。

 当時は徒弟制度の伝統が色濃く残っており、拳で教えられることもしばしば。「ある時、道具を跨いだら先輩にぶん殴られた。『道具を大事にしないやつにいい仕事はできない』って。今はその言葉の意味が良く分かるけれど、当時は嫌だったよ」と苦笑いする。

 その後、父とともに「岩崎造園」を設立、20代後半で独立した。「鎌倉には目の肥えたお客さんが多くてね。前日の仕事ぶりを見て『やり直し』を言い渡されたこともあった。周りの職人も腕利きばかりで、負けられないと思って必死で勉強した。鎌倉だからこそ自分も成長できたと思う」と振り返る。

海外での仕事も

 これまで数々のコンクールに挑み、入賞を重ねてきた。その技術のなかでも、特に評価が高いのが剪定だ。「木が答えを出してくれるのは数年先。木の性質や土地の気候を知らないと剪定はできない」と、将来の樹形を見越して枝の長さや量をコントロールするという。

 その腕を見込まれて、近年では海外での仕事も増えている。5年前には英・オックスフォード大学アシュモリアン美術館に展示されている、茶室の造園工事を担当。今年夏には上海に拠点を置く日本商社の依頼を受け、約600坪の日本庭園を完成させた。

飽くなき向上心

 「造園師は経験を重ねないと大成できない。勝負は50代から」と岩崎さん。植物の特徴はもちろん、病気の種類とそれに効く薬など求められる知識は幅広い。自身も職人となり50年以上。「体は言うことをきかなくなっているけれど経験と知識は今が一番。自分のやりたい庭造りができている」と手ごたえを語る。

 それでも仕事のたびに反省する点は必ずあるとか。「その分、来年はもっと上手くなっているんじゃないかな」。来月74歳となるが、その向上心は衰えることを知らない。

 自社の職人はもちろん、同業者の団体などで、若手を指導することも多い。「今は外国風の庭が人気だけれど、長い年月をかけて培ってきた日本の庭づくりの良さをもっと知ってほしい」。技術と経験を次の世代に伝えることにも力を注いでいる。
 

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