大規模災害時に住民が初期消火や延焼防止に活用できる消火資器材「スタンドパイプ」を使った市内初の訓練が4月24日、今泉台の滝ノ入南公園で行われた。企画した今泉台町内会自主防災組織は「導入に向け、市に働きかけていきたい」と話している。
スタンドパイプとは、道路上にある消火栓にホースをつないで、水道管内の圧力を使い放水を行うもの。そのため断水時は使用できないが、持ち運びが容易で訓練を受ければ一般市民でも操作できるのが特徴だ。
大規模災害時に初期消火や住宅の延焼を地域住民自ら行えるとして、近年、大和市や横須賀市は防災倉庫や駅、コンビニなどに設置を進めている。
今回、今泉台町内会自主防災組織は大船消防署、市総合防災課、県水道局、消防団第7分団に呼びかけ訓練を実施。当日は地域住民ら約70人が参加した。
市消防本部警防救急課の佐藤明彦課長から「スタンドパイプはまず自分の身の安全、そして近隣の安全を確認してから使うのが大前提」と話があった後、その仕組みや使い方などについて説明があり、消防車に積まれたスタンドパイプを使って放水体験が行われた。
参加した永塚邦夫さんは「条件にもよるが水が2階の高さまで届くことが分かった。いざという時、助けになるのでは」と話した。
導入にハードルも
訓練を企画したメンバーの1人、同町内会防災部長の前田陽子さんは「災害時に消防隊がここまで来てくれるとは限らない。自分たちで何かできることはないかという危機感が住民の間にあった」とそのきっかけを話す。
課題はその値段と水道管の老朽化だ。スタンドパイプの価格は約22万円。導入が進む自治体では、補助金を出して設置を促しているが、鎌倉市ではそうした制度はない。
また、県水道局によると、市内の水道管の多くが1965年頃に埋設されたもので老朽化が進んでおり、管内で錆が発生しているという。そのため、スタンドパイプ利用時に管内で急激な圧力の変化がおき、錆が浮いて近隣エリアでの飲料水の確保に支障がでる可能性があることも分かった。
前田さんは「今回、スタンドパイプの有用性と同時に、鎌倉ならではの課題も浮き彫りになった。引き続き、導入に向けて取り組んでいきたい」と話した。
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