防犯・防災ボランティア団体「鎌倉ガーディアンズ」(大津定博代表)が、鶴岡八幡宮境内に建つ県立近代美術館鎌倉館のパトロールを行うことになった。同館は今年3月末で閉館した後、職員が不在の時間も多く、いたずら等が懸念されている。依頼した県教育委員会は「建物を良い状態で保存し、活用していくために市民の目で見守ってほしい」と期待を寄せる。
県立近代美術館鎌倉館では、別館や学芸員棟の解体工事が7月から始まる予定。保存が決まっている本館の建物には警備システムも導入しているが、職員や警備員が不在の時間も多く、いたずらや動物の侵入等が懸念されている。
そこで県教育委員会生涯学習課は、源頼朝の墓などこれまでも市内での文化財警備に実績がある同会に、工事開始までの期間、定期的なパトロールを依頼した。
初日となった6月11日には、同会会員8人が参加。職員から「弁当箱やペットボトル、たばこの吸い殻が投げ入れられていないか」や「人が出入りした形跡、落書き等はないか」など、チェック項目について説明を受けた。
今後は6月末までの火・土曜日の午前中に見回りを行う予定で、大津代表は「決められた日以外も、近くにいる会員が通るようにするなど、人の目を絶やさないようにしたい」と話す。
同館は1951年に建設された日本初の公立近代美術館。当初、2016年3月末に借地契約が満了した後は、建物を解体して土地を鶴岡八幡宮に返還する予定だった。しかし市民の要望を受けて県が建物の保存を決定していた。
設計した坂倉準三は、モダニズム建築の巨匠ル・コルビュジエの弟子。コルビュジエの作品群が世界文化遺産に登録される見通しとなったことなどを受け、改めてその価値が見直されており、県は「県指定文化財としての保存」も視野に入れている。
同館の水沢勉館長は「最善の状態で未来に引き継ぎ、活用していくためにも、市民の目で見守ってもらえることは本当にありがたい」と話していた。
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