昨年4月に稲村ガ崎で起きた崖の崩落と歩道の陥没により、損傷した下水圧送管の修復と既存管の長寿命化を目指した工事が進んでいる。ただ、大がかりな工事が夜間に限られることや、管の中に人が入って作業しなければならない箇所があることから、通常の下水管工事より3倍ほどの時間がかかっているという。市下水道河川課は12月下旬の竣工を見込む。
復旧工事が行われているのは、坂ノ下ポンプ場から鎌倉海浜公園稲村ガ崎地区付近までの約396mに敷設された下水圧送管。
この場所では昨年4月、稲村ガ崎で発生した崖の崩落とその後の国道134号線沿いの歩道の陥没により、管の一部が損傷し漏水しているのが確認された。
圧送管は、鎌倉地域の約1万7千世帯の下水を坂ノ下のポンプ場から七里ガ浜処理場に送っており、市は緊急処置として下水を消毒したうえで海に放流。その後、仮設管の設置と増設により海への放流を止めたものの、現在も仮設管が歩道をふさぎ通行できない状態が続いている。
3分の1が終了
市下水道河川課によると、復旧工事が始まったのは今年3月。3スパンにわけて進められており(上図参照)すでに、西部ポンプ場から国道134号線までの区間約145mの工事は完了した。現在は第2スパン(約158m)の工事に向けた準備が進められている。
損傷した圧送管は新しい管に差し替えるほか、薬液を注入するなどして地盤を強化する。その前後の圧送管は、設置から40年以上が経過していることから、既存の管の中に新しい管を造る「管更生工事」を行い、長寿命化を目指す計画だ。
工事は難航
ただ、現場は交通量の多い国道の下に位置することから、材料の積み下ろしを伴う大がかりな作業は夜間に限られる。また、管が曲がっている箇所については直径80cmの圧送管内部で人が作業する場合もあるため、一般的な下水道工事に比べ約3倍の時間がかかっているという。
同課は試験的に水を流す「通水」を10月下旬頃に行った後、埋戻しなどの作業を経て12月下旬の竣工を目指している。仮設管の撤去などを含めると、今年度末までかかる見込みという。費用は1億6794万円。
同課は「難しい工事だが着実に進めているので、ご理解いただければ」と話している。
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