市内大船在住のジャズダンサー・柏木みどりさんは10月13日、米・ニューヨークのフローレンスグールドホールで公演を行う。
来月半ばには渡米予定で、6年ぶり5回目となる大舞台を前に「ジャズダンスと日本舞踊を融合させた世界観で、長年テーマにしてきた『女の情念』を思いきり表現したい」と意気込みを語る。
女優からダンサーへ
柏木さんは東京都出身。家が浅草の国際劇場近くにあり、美空ひばりさんなどの華やかなショーを見て芸能界に憧れを抱いた。
高校卒業後は松竹で女優のキャリアをスタートさせ、CMやテレビドラマに出演。しかし小柄な体格がネックとなり、良い役はなかなかまわってこなかった。
知人に紹介された振付師に弟子入りしたのは20代の半ば。しかしライバルが多く、チャンスは巡ってこない。「ならば」と単身渡ったのが、ジャズダンスの本場・ニューヨークだった。
「ダンス学校には日本人は誰もいなかった」という時代。アフリカ系アメリカ人のダンサー、フレッド・ベンジャミン氏のもと、3年間、無我夢中で表現を磨いた。柏木さんは「先生は感情表現が得意な人。思えばこれが私の原点になった」と振り返る。
帰国後は6歳から始めた日本舞踊とジャズダンスを融合した、独特の表現を確立。特に「悲恋に陥った女性の感情」を演じるのを得意とし、30年にわたり「女の情念」をテーマにしている。その一方、1979年に大船でダンススタジオを立ち上げ、後進の育成にも力を注いできた。
和・洋の表現を融合
柏木さんが初めてニューヨークで公演を行ったのは89年。以来、数年おきに開催し5回目を迎える。
「最後のチャンスかもしれない」という今回、柏木さんが予定している演目は2つ。新作の「ボレロ」はバレエ音楽としても有名な楽曲に、和装と日本舞踊を融合させる。6mにおよぶ布を男性に見立て「終わった恋と断ち切れない心」の葛藤を表現しながら、エキゾチックな時間を演出するという。
また「曽根崎心中」は、作曲家・新垣隆さんが手がけた楽曲とともに物語がつづられる。柏木さんは女郎・はつに扮し、徳兵衛との悲恋を全身で演じる。徳兵衛役は、人形師・ホリ・ヒロシさんが操る等身大の人形。異色のコラボレーションは、昨年鎌倉芸術館で行った公演でも観客から喝采を浴びた自信作だ。
柏木さんは「日本のダンス作品を本場の人にも知ってもらいたくて、ニューヨーク公演を行ってきた。日本のカラーを出しながら、観客に忘れられないひとときを提供できれば」と話している。
鎌倉版のローカルニュース最新6件
|
|
|
|
|
|