今年開館90周年を迎えた鎌倉国宝館。その歴史の中で大きな試練となった戦時下にスポットを当てた特別展が、10月20日から開催されている。当時の展示内容を紹介するほか、収蔵品を「疎開」させた記録など、貴重な資料を通じて、困難の中でも文化財を守り抜いた同館の歴史を知ることができる。
鎌倉国宝館は、1923年の関東大震災により多くの貴重な文化財を損失したことを契機に設立が計画された。
鎌倉同人会をはじめ多くの市民からの寄付や多数の文化財の寄託を受けて、28年に開館した。
そんな同館の歴史の中で、最大の試練となったのが戦争だった。日中戦争から太平洋戦争へと戦火が拡大するなか、45年6月には旧国宝約40点、重要美術品約10点を津久井郡串川村(現在の相模原市緑区)へと「疎開」。収蔵品が少なくなった分は、近隣の社寺から新たに仏像を借りるなどして、終戦まで休館することなく活動を続けたという。
日誌など展示
現在開催されている特別展「鎌倉国宝館1937―1945 戦時下の博物館と守り抜かれた名宝」では、当時開催された展覧会と同じ作品を展示。さらに収蔵品疎開のための梱包作業の様子や、空襲警報が流れた時間を館員たちが書き記した業務日誌など、当時の状況が伺える史料も並ぶ。
同館では「戦時下、貴重な収蔵品をどのように守り抜いたのかについて、知ってもらえたら」と話している。
会期は11月11日(日)までが前期、13日(火)から12月2日(日)までが後期で、展示品を入れ替え。午前9時から午後4時30分まで。月曜休館。観覧料は一般600円、小中学生200円。期間中の毎週土曜日午後2時からは来館者対象の無料解説も。
また、11月23日(金)午後1時30分から鎌倉商工会議所地下ホールで記念シンポジウムが開催される。鎌倉同人会会長の富岡幸一郎氏、鶴岡八幡宮宮司の吉田茂穗氏らが出演予定。参加無料で予約不要。定員先着150人。
問い合わせは鎌倉国宝館【電話】0467・22・0753へ。
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