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「令和」につないだ万葉の心 学僧・仙覚の功績に注目も

文化

掲載号:2019年5月1日号

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万葉の草花を描き続けてきた阿見みどりさん(左)、妙本寺境内の「万葉研究碑」
万葉の草花を描き続けてきた阿見みどりさん(左)、妙本寺境内の「万葉研究碑」

 今日から始まる「令和」時代。年号の出典が、初めて日本の古典である「万葉集」から採用されたことが大きな話題となった。国内最古の歌集として知られる「万葉集」だが、鎌倉時代、妙本寺(大町)に拠点を置いた一人の学僧の研究が、現在にまでつながる大きな役割を果たしていることはあまり知られていない。

万葉集研究の礎築く

 万葉集が編纂されたのは今から1200年ほど前。漢字の音を日本語にあてた「万葉仮名」で書かれているため、後の時代の人々は訓点(訓読するための返り点や送り仮名)をつけなければ、読むことができなかった。

 約4500首のうち、鎌倉時代になっても訓点のなかった152首につけたのが、現在の妙本寺を拠点に活動した仙覚という学僧だった。

 その生涯について詳しいことは分かっていないが、1203年に生まれ、難産のために亡くなった鎌倉幕府4代将軍の藤原頼経の正室・竹御所を弔うために建てられた新釈迦堂(妙本寺の前身)に32歳から33歳頃、招かれたとみられている。

 「13歳で万葉集研究を志した」と書き残している仙覚は、頼経の命を受けて校訂作業に入り、46年に訓点をつけ終えた万葉集を献上。こうした成果は、現在の研究や出版物のベースともなっている「西本願寺本写本」として伝わっている。

 ただこうした功績を知る人は鎌倉でも少なく、今は妙本寺の境内に「万葉研究碑」がひっそりとたたずむだけ。改元を機に功績に光を当てようという動きも生まれている。

 歴史家・小説家の織田百合子さんは「彼がいなければ、現在のように万葉集が残っていたか分からない。令和時代には仙覚の功績により光が当たり、鎌倉が万葉研究の拠点になれば」と期待を寄せ、市文化人権課では「積極的に情報発信をしていきたい」としている。

万葉の草花描き続けて

 こうした鎌倉と万葉集とのつながりに特別な思いを抱いているのが、市内在住の画家・童話作家の阿見みどり(82・本名:柴崎俊子)さんだ。

 阿見さんにとって万葉集は幼い頃から身近なものだった。父・山口正は国語学者で万葉研究者。「父は折に触れ『万葉集にはこんな歌があるんだよ』と教えてくれました」と振り返る。

 阿見さん自身も20年ほど前から、万葉集に詠まれた草花をモチーフに水彩スケッチを描き始めた。作品は毎年カレンダーや水彩画集として発売され人気を博してきた。

 そんな阿見さんが鎌倉に住まいを移したのは30年ほど前。2009年には、自ら設立した出版社「銀の鈴社」も、都内から鎌倉に移した。

 10年ほど前、妙本寺における仙覚の万葉研究を知り「鎌倉に来たことは決して偶然ではなかったのだと思う。父から受け継いできた万葉への思いが、つながった気がしました」と話す。

 これまで草花を主なモチーフとしてきたが、今後は万葉集に詠まれた情景を絵巻物として発表する。11月1日(金)から5日(火)まで、妙本寺で展示する予定で、4年をかけて完成を目指す。

 阿見さんは「万葉の人々が詠んだ日々の暮らしのなかの喜びや悲しみは、千年を経た我々にも共鳴できるもの。その魅力をこれからも伝えていけたら」と話している。

令和が引用された『時に、初春の令月にして、気淑く風和ぎ、梅は鏡前の紛を披き、蘭は珮後の香を薫ず』をイメージして阿見さんが描いた白梅と春蘭
令和が引用された『時に、初春の令月にして、気淑く風和ぎ、梅は鏡前の紛を披き、蘭は珮後の香を薫ず』をイメージして阿見さんが描いた白梅と春蘭

鎌倉まめや小町通り店

5月に店舗をリニューアル。広々とした店内には常時70~80種の豆菓子が充実。

http://www.mame-mame.com/

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