鎌倉彫の職人と、はんこを扱う印章職人が協力し、鎌倉ならではの「御朱印巡り」に向けたプロジェクトが進んでいる。2月18日〜24日には、新たに制作した鎌倉彫の御朱印が鎌倉彫工芸館で展示され、来場者からは御朱印巡りの開始を待ち望む声が聞かれた。鎌倉彫の御朱印は今後、鶴岡八幡宮で祈祷され、鎌倉十三仏の寺院などで使用される。
持ち手など表面部分を鎌倉彫の職人が手がけ、判の部分を印章職人が担当した「鎌倉彫 御朱印」づくり。3年ほど前、印章職人で鎌倉はんこ(御成町)を営む月野允裕さん(42)と、鎌倉彫職人たちが独自の商品づくりを模索する中で、鎌倉彫による御朱印のアイデアが生まれた。伝統鎌倉彫事業協同組合の三月一彦理事長(70)も、「御朱印に鎌倉彫を使うのはありそうでなかった。おもしろい」と企画を後押しした。
その後、完成した御朱印を実際に使用する鶴岡八幡宮や鎌倉十三仏の寺社にヒアリングを重ねた。全国各地で使われている御朱印にはプラスチック製のゴム判もあるが、住職たちから話を聞いた月野さんは、「御朱印は寺社と参拝者らをつなぐ証。格式があるものにというニーズがあった」と"本格派"にこだわった。
鎌倉彫職人たちは、寺社ごとに竹や鶴などデザインを変えて木を彫刻し、漆を塗る。そして、月野さんが印影部分を仕上げ、できあがったオリジナル御朱印。展示会に訪れた70歳男性は「鎌倉彫の可能性が広がる」と話し、70代女性は「御朱印巡りが楽しみ」と笑顔をのぞかせた。
伝統工芸、文化再発信の機会に
プロジェクトを主導する鎌倉彫職人、印章職人にとって鎌倉彫の御朱印は、それぞれが身を置く伝統工芸、伝統文化を再発信する機会創出にもつながる。
この取り組みは、新たなチャレンジを支援する鎌倉市商工業元気アップ事業にも認定。月野さんは、「コロナ禍で落ち込んだ街が、大河ドラマを契機に盛り上がろうとしている。鎌倉彫の御朱印がその一助になれば」と期待を口にする。
3月18日(金)〜24日(木)にも、鎌倉はんこ展示工房(御成町2の9)で展示会を開催。午前10時半〜午後4時半。入場無料。(問)【電話】0467・37・9297(鎌倉はんこ)
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