深沢地区のまちづくりと市役所移転を巡り、鎌倉市は2月25日、市民と松尾崇市長が対話する「市長と語る鎌倉の未来」を鎌倉生涯学習センターと大船学習センターで開催した。昨年12月の市議会で「鎌倉市役所の位置を定める条例の一部を改正する条例」が否決されたのを受け、市は市民への情報共有が不足していると捉え集会を企画。鎌倉、大船の両会場に事前応募した市民57人が参加した。
鎌倉市が昨年12月議会に提出した位置条例改正案は、出席議員の3分の2以上の賛成が得られず否決された。市は、建て替えの必要性や移転に至る経緯、意思決定のプロセスなどの情報発信が、市民に対して不十分だったと判断。事業の説明に留まらず、市長と市民が対話するための場が設けられた。
財政面に懸念の声
参加した市民からは、移転の賛否をはじめさまざま意見があがり、それに対し市長が回答した。
反対意見では、新庁舎と現庁舎の跡地に、2つの施設を建設することで生じる財政面の負担を危惧する声があがった。さらに近年の社会情勢や生活様式を踏まえて、「少子高齢化が進み、コンパクトな街づくりが求められる時代に、市役所を建てるのは環境に優しい街づくりと言えるのか」や、「新型コロナの流行でリモートワークが普及し、移転の必要性が感じられない」といった意見もあがった。市長はこれに対し、「各施設を新庁舎に集約することで、財政面の効率化を図っていく」と回答した。
また、深沢地区の災害リスクや地盤の脆弱性を懸念する声も。市長は、「現在地も移転予定地もそれぞれリスクはある。新庁舎の予定地は、1000分の1の確率の水害があっても耐えられる計画にしている」と話し、水害対策を強調した。
早急に移転求める声も
一方、現庁舎は築50年以上が経過し、老朽化や耐震面での問題を抱えている。実際に、震度6以上の地震が発生した際には、庁舎内で業務を継続できないことも想定されており、早急の建て替えと移転を求める声があがった。
また、「バリアフリーやインクルーシブに対応した新庁舎を」という声もあり、障がいの有無に関わらず、誰もが使いやすい庁舎整備を早急に進める点で賛成という意見があがった。
さらに、「市長選で市庁舎移転を公約に掲げて当選しているので、自信を持ってください」と参加者が松尾市長を鼓舞する場面もあった。
市は今後、情報公開を積極的に行うと同時に、市民が意見や提言をできる機会を設けていくとした。
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