東北出身の2人の警察官が、派遣先の被災地の現状を語った。
東日本大震災を受け、大船警察署(長谷川寛署長)からは、交通課の高橋賢次巡査長(32)と、大船駅前交番に勤務する地域課の師和幸巡査(25)を被災地へ特別派遣。2人は4月17日から20日間、岩手県の大船渡市や陸前高田市でのパトロール任務にあたった。
高橋巡査長は秋田県、師巡査は宮城県の出身ということもあり、被災地での活動志願に迷いは無かった。
当初は「街がすべて消え、海まで更地のようだった」と現地の惨状にショックを受けるが、街灯も交番さえも流された街でのパトロールの重要性に警察官としての責務を痛感する。
被災地に集まっていたのは、支援団体など人々の「善」の心だけではなかった。「ボランティアを装って、避難者の留守宅に入り、家財をあさる不審者も多い」と高橋巡査長。「バールでこじあけられ、中身がすべて抜かれた金庫も多かった」と話す。
秩序の乱れた被災地では、パトカーが赤色灯を点け巡回することが高い防犯効果を発揮した。住人たちからは「久しぶりに夜、ぐっすり眠ることができた。ありがとうございます」と感謝の言葉が次々に届いた。東北出身の2人が「東北なまり」が分かることでも心が通い合った。師巡査は「被災者の方たちは、ご自身の恐ろしかった震災での体験を、誰かに聞いてもらうことで気持ちを整理し、落ち着けたいのだと知った」と話す。
交流を深め、最終日には地域住民らによる「送別会」も。任務の期間に撮りためた写真のプレゼントは「思い出の詰まったアルバムも流されてしまったから嬉しい」と喜ばれ、被災地にけなげに咲いた花の写真も「こんな時でも花は咲くんだね」と、人々を元気付けた。「きっと復興してみせるから、10年後に見に来てほしい」という力強い言葉と、東北の人たちのやさしい笑顔が2人の胸に刻み込まれた。
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