鎌倉海浜公園由比ガ浜地区の一画に、明治期に建てられたサナトリウム「鎌倉海濱院」と、その後建設された「鎌倉海濱ホテル」を記念する石碑が設置された。これは一般社団法人鎌倉同人会(山内静夫理事長)が創立100周年事業として行ったもの。同会の関係者は「近代鎌倉の発展の原点となった両施設と同人会の歴史について知ってもらえれば」と話す。
石碑は高さ1・5メートル、幅1メートルの黒御影石造りで、表面中央には在りし日の「鎌倉海濱ホテル」が、裏には両施設の歴史が刻まれた。
4月8日に行われた除幕式と市への贈呈式には同会会員や来賓らが多数出席。山内理事長は「100周年の記念と、鎌倉の発展の原点となる場所に何の目印もなかったことから設置を決めた。両施設に重なる同人会の歴史についても知ってもらえれば」と挨拶した。
贈呈を受けた松尾崇市長は「これほど長いまちづくりへの貢献は例がなく、皆さんの尽力に感謝している。市として石碑をしっかり守っていきたい」と返した。
近代鎌倉発展の礎
「鎌倉海濱院」は1887(明治20)年、政府高官で医師の長与専斎の尽力により開院した。長与が「保養に適した場所」として紹介したことや温暖な気候が好まれ、政財界の要人が鎌倉に別荘を建設した。
同院はその後、ホテルへと業態を転換し、1906(明治39)年には建築家・ジョサイア・コンドルの設計による改修が行われた。戦後間もない1945(昭和20)年に火災により焼失するまで、多くの著名人が訪れ、保養地鎌倉の顔として親しまれた。
また鎌倉同人会は1915(大正4)年1月、海濱院近くに居を構えた陸奥廣吉伯爵と同院の医師、勝見正成らが中心となり発足した。以後、駅舎の改築や段葛の植樹、史跡の保護といった活動を通じて地域に貢献し、最近では文化講座や映画会、俳句会、短歌会などを開催している。
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