JR北鎌倉駅からすぐの場所にある関本豆腐店。大正時代から続く老舗に2匹の”看板ネコ”が仲間入りし、近所や常連客の間で人気となっている。
「兄」のムーと「妹」のハナが店にやって来たのは1カ月ほど前。今は元気いっぱいに遊びまわり、食欲も旺盛な2匹だが、命の危機に瀕したことがあった。
側溝で子猫発見
伊奈さくらちゃん(6歳)、ももこちゃん(6歳)は市内に住む双子の姉妹。2人は10月初め、友達の家を訪れ外で遊んでいると、かすかな鳴き声が聞こえたという。「猫がいる!」。周囲の大人たちも加わり探すが、なかなか発見できない。ようやく見つかった声の主は、道路の側溝にいた。
「目ヤニがひどく、毛もぼさぼさで衰弱していた」と母のさちこさん。親猫の姿は見当たらず、子猫はそのまま動物病院に入院することになった。
「命が最優先」
さらにその翌日、付近の側溝から猫の鳴き声が。今回はフタのある場所だったため、市役所に連絡し、開けてもらった。
「この後どうしますか?」2匹目を助け出した際、職員に尋ねられたさちこさんは戸惑ったと言う。伊奈さん一家はマンション住まいで猫たちが元気になったとしても、飼うことはできない。引き取り手がなければ施設に送られ、殺処分される可能性もある。
そんな時、聞こえたのが「猫はずっと鳴いていたはずなのに。大人には聞こえなかったのかな?」という子どもたちの一言。「一番優先すべきは命だと気付かされた」と振り返るさちこさん。知り合いに連絡し引き取り手を探していると、動物病院から「飼ってくれる人が見つかりました」という連絡が入った。
ネコたちと再会
10月24日、伊奈さん一家は関本豆腐店を訪れ、2匹と再会した。元気な姿を見たさくらちゃん、ももこちゃんが「大きくなったね」「かわいい」と歓声を上げる。3代目店主の関本敏子さんは「豆腐屋には大豆を狙ってネズミが来るのでこれから頑張ってもらわないと」と笑顔で話す。
さちこさんから2匹がここに来るまでの一部始終を聞いた関本さんは「2人には、生き物を慈しむ心と愛情を持った人になってほしい」と話し、子猫たちと遊ぶ姉妹を見つめながら目を細めた。
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