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鎌倉版 公開:2016年1月1日 エリアトップへ

新春市長インタビュー 「危機意識欠けていた」 不適切事務問題を謝罪

政治

公開:2016年1月1日

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取材に答える松尾市長=昨年12月10日、市役所で
取材に答える松尾市長=昨年12月10日、市役所で

 タウンニュース鎌倉編集室では、2016年の年頭にあたり市長インタビューを行った。このなかで松尾崇市長は、9月議会で不適切な事務処理が次々と明らかになったことに触れ「市民に申し訳ない」と謝罪。新焼却施設の整備については、候補地となった山崎浄化センター周辺の住民が「負担の集中」として反発していることに「皆さんの不安としっかり向き合っていく」とした。(聞き手は本紙鎌倉編集室編集長、井方照雄)

 ――9月議会において、市医師会に委託している予防接種事業での期限切れワクチンの接種や市の複数の事業で白紙請求書が使用されているなど、不適切な事務処理がいくつも明らかになりました。この問題についてのお考えを聞かせて下さい。

 「市民の皆さんには大変申し訳なく感じています。特に期限切れワクチンの問題は、幸い健康被害に至っている事例はありませんでしたが、重大なことと受け止めています。まずは一つ一つを正しく実施していくということが求められていると思いますので、医師会とともに再発防止に取り組んでいきます。また白紙請求書は複数の部や課にわたり58事業で使用されていました。長年にわたって漫然と実施されてきたということで、組織としての危機意識が欠けていたと感じています。すでに私をトップとする『不適切な事務処理に関する調査委員会』を立ち上げて第1回を昨年11月27日に行いました。今年5月をめどに市議会での最終報告を目指して調査を進めているところです」

 ――組織として一番の問題点はどこにあったとお考えですか。

 「近年、役所の仕事が担当者ベースに細分化されている傾向があり、日頃から横の連携、縦の連携をとっておかないと、重要な課題を一人で抱え込んでしまうということがあったと思います。また、これまでの慣例に基づき、問題意識を持つことなく漫然と業務を行うようなこともあったと思いますので、今後これらの問題について取り組んでいきます」

 ――調査委員会では、組織運営の改善点や方向性なども示していきますか。

 「調査を通じて組織全体の課題がさらに見えてきています。今回の一連の不適切な事務処理だけ解決するのではなく、二歩三歩踏み込んで根底から改善しなければならないと考えています」

新焼却施設「地元との合意17年度末までに」

海水浴場運営は「規制から周知へ」

ごみ処理行政

 ――ごみ処理行政では、昨年4月に家庭系ごみの有料化がスタートしました。現時点での減量効果は。

 「当初8%と予想していましたが、平均で16%近く、トン数では1年間で4千トンを超えて減量できる見込みです。これも、市民の皆さんのご理解とご協力のおかげです」

 ――昨年11月には「2018(平成30)年度中に戸別収集を全市で実施する」という方針を発表しました。その理由は。

 「当初、戸別収集は有料化とセットで実施する予定でした。最大の目的は減量でしたが、モデル地区での検証結果などから、減量以外の効果がいくつか明らかになってきました。

 1つは、排出者責任の明確化です。観光客や通勤途中の方がごみを捨てたり、事業活動によって出たごみがクリーンステーションに出されたりしている状況を改善するためにも必要であると考えています。また、少子高齢化が進むなか、ごみ出しに対する高齢者や子育て世代などの負担軽減を図ることや、高齢者の地域の見守り活動等に役立てることにつなげられるものと考えています。

 これらを踏まえて、戸別収集については、16(平成28)年4月から燃やすごみ1品目をモデル地区において先行実施した後、17(平成29)年度から段階的に全市実施していく予定でした。昨年12月議会においては、戸別収集の全市実施に先立ち、16年4月から予定している先行実施への移行を円滑に進めるため、モデル地区における1月から3月までの戸別収集実施にかかる経費の補正予算を計上しました。

 しかしながら、補正予算が議会の議決により修正されてしまったため、予定していた4月からの燃やすごみ1品目による戸別収集の先行実施は困難な状況となっています。今後の対応については、12月議会の議決を踏まえて慎重に対応していきたいと考えています」

新焼却施設

 ――昨年4月に山崎浄化センター(下水道終末処理場)内の未活用地を、新しいごみ焼却施設の建設候補地とすると表明しました。理由を教えて下さい。

 「最大の理由は、災害時の危機管理も含めたごみ処理のあり方です。平常時には下水処理場と連携することによって、ごみ焼却で発電した電気を下水処理に使い、下水処理で発生した水をごみ焼却施設の機器冷却に使います。山崎浄化センターでは、年間約1億9千万円の電気代金がかかっていますが、そのおよそ7割をごみ焼却で発電した電力でまかなえる見込みです。お互いのエネルギーを有効活用することでより効率的な施設にできると考えています。また、災害時においては、発電ができることでごみ焼却施設と下水道終末処理場が安定的に、仮に停電になっても稼働を続けられます。大災害の後は下水とごみの処理が大きな課題となります。これをよりスムーズに進める体制作りを重視しました」

 ――「迷惑施設」が集中することに、地元は反発しています。

 「負担が集中するということは事実ですので、しっかり膝をつめて話し合い、皆さんの不安に向き合っていきたいと思っています。地元で自治町内会長の方々を中心とした『反対する会』が設立されましたので、その方々との話し合いを重ねて信頼関係を築いていきたいと考えています。『迷惑施設』にはならないよう最大限配慮しながら、結果的に喜んでもらえる施設にしていきたいと思っています」

 ――地元との対話にはどれぐらい時間をかけますか。

 「16年、17年の2年間が地元の方々と話し合いをする期間として予定をしており、17年度末頃までにはご理解を得ていきたいと考えています。最終的にはお互いが納得できるような協定などを結ぶことができればと考えています」

 ――焼却施設整備全体にかかる費用とその財源は。

 「当初60億と想定していましたが、資材・人件費も高騰していますので、概ね60億〜100億と想定しています。最大の財源は、有料化でいただいている年間3億5千万円のうち諸経費を除いた2億5千万円の基金への積み立てです。国や県の補助も非常に重要ですので、しっかり協議しながら取り組んでいきます」

文化財の保存・活用

 ――昨年は文化財の保存・活用についても話題が多かったと思います。御成小学校の旧講堂、旧町立図書館についての保存・活用の方針を決定しました。今後のスケジュールは。

 「御成小学校旧講堂については学校施設としての活用を予定しています。具体的には『鎌倉市立御成小学校旧講堂保存活用計画策定委員会』において審議し、16年度末までに保存活用計画を策定したいと考えています。旧町立図書館については、御成の子どもの家・子ども会館に活用していくという方針は決定しています。これから耐震診断をした後に詳細設計に入っていきます。できるだけ早くと思っていますが、利用開始は17年以降になると思います」

 ――同じく保存してほしいという市民の声が強いJR北鎌倉駅そばのトンネルですが、こちらは開削という決定をしました。

 「私もトンネルが残せるものなら残したいという思いがあり、日本トンネル技術協会に改めて調査をしていただきました。その結果、やはり手を入れなくてはならないことがわかりました。しかも相当補強しなくてはならず、コンクリートで固めたりした時に、本当にそれが地元の方々が望むものかと考えました。開削をした場合でも、自然の岩肌が見えるなど、できる限り風情を損なわないようにし、一日も早く工事を完了させたいと思います」

海水浴場

 ――昨年の海水浴場の運営では、マナーアップ条例を改正し、砂浜での飲酒などを禁止としました。成果をどのように評価していますか。

 「一昨年の海水浴場と比較をして、風紀は改善されてきていると受け止めています。ただ、それで十分ではないと考えています。一つには砂浜でお酒が飲めないことを知らずに来る方が多くいました。お酒を買って砂浜に来て、ダメだと言われたり、海の家でお酒を飲んでいる方が砂浜に出てトラブルになることもありました。飲酒によるトラブルをなくしていく点においては、まだ課題があると感じています」

 ――来年度に向けて規制の強化は。

 「条例の改正などは考えていませんが、周知徹底を、引き続き取り組んでいきたいと考えています。子どもや家族連れが来てもらえるイベントなどをより広げていき、安心してゆったりと楽しめる、そんな海水浴場だということを皆さんに自然にわかっていただけることを目指していきます」

 ――海の家の営業時間について、条例化は検討していますか。

 「昨年午後8時30分までに変更しましたが、ルール違反があったところについてはそれぞれ組合の中でペナルティーを科すなどしっかり対応していました。ルールが守られないような状況があれば、条例化ということも当然考えることになると思いますが、当面は今のままでいきたいと思っています」

 ――海の家での音楽、ライブイベントについての規制はお考えですか。

 「私個人としては、本当に海水浴場に必要なのか疑問に思うところもあります。ただすぐに排除ということではなくて、様子を見ながらどういう形が望ましいのか、議論を重ねていきたいと考えています」

岡本マンション計画跡地

 ――岡本二丁目のマンション計画跡地の利用について、現在の進捗を教えて下さい。

 「昨年度、用地活用の基本計画がまとまり、子ども・子育て支援機能と市民活動支援機能、交流機能という三つの柱を掲げました。今後はこの考え方をもとに具体的な施設整備に取り組んでいき、18年度中の完成を目指しています。また12月議会に市道階段の復旧費用を盛り込んだ補正予算を提案しました。この課題が出てから、地元の方々からは階段の復旧が最優先とのご指摘をいただいてきました。時間がかかってしまいましたが、今年の夏頃には階段ができる予定です」
 

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