伝統工法にこだわり 5月オープン目指す
市内長谷に江戸時代から酒類問屋として店を構えた「萬屋本店」がレストランに生まれ変わる。オープンは5月を予定。重厚な門構えが印象的な「旧母屋」は大正時代に建てられており、そのリノベーションにはくぎやビズを一切使わない伝統工法を採用する。今回の再生・活用を担う市内のウェディング会社は「『萬屋本店』の歴史と名に恥じぬよう、新たな歴史を紡いでいきたい」と意気込む。
萬屋本店は1806年創業。江戸時代から鎌倉に店を構える老舗で、京都・灘の銘酒「白雪」などを取り扱う市内で唯一の酒類問屋として栄えた。
鎌倉ビールや日本酒「鎌倉五山」といった地元名産品の特約販売元でもあったが、大型量販店やコンビニエンスストアなどの台頭により2005年に廃業。建物はそのままとなっていた。
「再活性」担う
今回、萬屋本店の「再活性」を担うのが株式会社Daiyu(宮腰真里代表)だ。同社は市内扇ガ谷に本社を置き、そこでウェディングサロンを開いているほか、都内の料亭や旅館、市内二階堂の鎌倉宮や十二所の明王院などでウェディング事業のプロデュースを行っている。
「萬屋本店」に建物利用のオファーを出していたところ、2014年12月、所有者から「この建物で地域に貢献して」と事業を任された。
同社マネージャーの鈴木樹陽太(じゅひた)さんは「私たちができることは、その場所や施設の付加価値を高め、保存活用していくこと。今回、このような伝統ある建物に関われて光栄」と話す。
伝統工法にこだわる
建物は増改築が行われており場所によって異なるものの、重厚な門構えが印象的な「旧母屋」は1925年に建てられた。こうした歴史ある建物を蘇らせるため、リノベーションは伝統工法にこだわる。
現場を取り仕切る棟梁の木村真一郎さんによると、建物は細部にまで手が行き届き、先人たちの仕事ぶりには舌を巻くほどだという。「これまでなかった階段を作ったりするため、解体しなければならない箇所があるのですが、それが大変なほど頑丈に作られている」と苦笑いする。
木村さんはもともと市内の住宅を伝統工法でリノベーションするなどしてきた。それでも、「今回の建物は別格。当時の大工さんたちに敬意を抱くと同時に、『負けたくない』という気持ちが湧いた。レストランは多くの人の目に触れることになるので、良い仕事をしたい」と笑顔で語った。
昭和の初めに建てられた酒蔵はそのままホールとして保存・活用される。日本庭園も設置される予定だという。
地域の人が集う場に
オープンは5月を予定する。マネージャーの鈴木さんは「酒類問屋としての営業を終えた後、建物を使わせてほしいというオファーはたくさんあったと聞いている。『萬屋本店』の歴史と名に恥じぬよう、地域の皆さんが非日常を味わえる場を作り、新たな歴史を紡いでいきたい」と話した。
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