▼一昨年に行われた「開国博Y150」で主催した横浜開港150周年協会が約25億円の赤字を抱えた問題で昨年12月、市会で市が同協会に約12億6600万円を補助金として支出する補正予算案が可決された。同協会は開国博の不振は企画内容に問題があったとして、委託先の「博報堂」らの共同企業体に委託料を減額するよう求め、特定調停を申し立てていた。今回の可決を受け、同協会は裁判所の調停案を受け入れ、市の補助を合わせ、未払い委託料34億円の7割にあたる約24億円を支払う方針だ。
▼市は協会の赤字に「社会的、道義的責任がある」とするものの「複雑な要因が絡み、責任の特定は困難」という。しかし、今回の市費投入は、結果的に市民に責任を求めたことになる。市会の議論では、予算案に賛成した議員でさえ、多額の赤字を出した状況に「民間企業ならトップの首が飛んでいる」というほど。これでは市費投入に市民が納得できるはずがない。
▼市民の理解を得るには、市や協会が情報を明らかにし、市会や市民が不振の原因分析を行える環境を作ることが大切だろう。情報がなければ、協会が未払い分の7割を支出する根拠すら検証できない。市は補正予算案提出後に博報堂側との詳細な契約資料をようやく明らかにした。しかし、集客に直結する企画内容がコロコロと変わった点などへの詳しい説明はない。一昨年12月に市がまとめた事業総括の中で「分散会場で一体感に欠けた」など9つの原因を挙げているが、状況説明ばかりで、そうなった理由が見えてこない。
▼もちろん、今まで関係予算を通してきた市会の責任もある。開国博期間中や閉幕後も市議から不振の理由を積極的に解明しようという動きはあまり見られなかった。市会でその役割を果たすはずの「開港150周年事業推進特別委員会」は開国博の終了を待たずに姿を消している。
▼市はしきりに「今回の教訓を活かしたい」というが、不振の原因を明らかにする環境さえ整っていないのに、どうやって教訓を活かせるのか。協会はまだ2社と特定調停中で、新たな市費投入の可能性がある。開国博に協力した多くの市民を失望させないためにも、市が積極的に情報開示を行うことを期待したい。
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