横浜市では、東日本大震災の発生を受け、津波からの避難を呼びかけることを目的とした「津波警報システム」を整備する。今年度中、湾岸6区に無線スピーカーを10ヵ所、来年度には90ヵ所の計100ヵ所に設置を予定。市としては初の取り組みとなる。
この整備は、東日本大震災で横浜港の津波が市が想定する”1m未満”を超える1・6m(気象庁発表)だったことなどを受けて実施されるもの。
市では「市地域防災計画」の中で、「東海地震」をモデルに予想される津波を約1m、満潮時で約1・9mとしていた。しかし、過去には、これを上回る規模の「元禄型関東地震」も発生している。県の地震被害想定調査では、その震度を6〜7(当時)とし、予想される津波は約2・1m、満潮時で約3mとされた。市ではこれを受け”元禄型”を新想定モデルとした。
これを基に浸水被害が想定されるのは、海に接する鶴見、神奈川、西、中、磯子、金沢の6区。今回は”想定外”をなくすことを狙いとし、6区に無線スピーカーを活用した、津波警報システムの整備が進められることとなった。
瞬時に情報伝達
これまで市では、沿岸部にスピーカーを設置しておらず、避難勧告・指示の情報伝達手段として、市や区の広報車を活用することなどを考えていた。しかし、現場へ向かう時間がかかるなど、迅速性に課題があったという。今回のシステムでは、気象庁から津波警報が出たと同時に音声アナウンスが発せられる。課題のタイムラグは解消され、いち早く湾岸部にいる人に情報が伝えられる。
無線スピーカーは今年度中10ヵ所に設置する。設置場所は、観光客など人が多く集まる臨港パークや赤レンガ倉庫、山下公園などに6ヵ所。また、住宅地区に4ヵ所が予定されている。導入される無線スピーカーは、高さが約14m、伝達半径は約300mをカバー。有事への備えも考慮され、太陽光パネルや蓄電池が備わるものになる。
同システムが導入されるみなとみらい地区などは、さまざまな人が訪れる観光地。その中で「耳の不自由な方や外国人観光客への対応も必要となるのでは」という声も聞かれる。市消防局では「聴覚障害の方にはライトを使った警報、外国人に対しては世界共通語となっている”ツナミ”という言葉を強調して伝えるなど、今後はさまざまな工夫を検討していきたい」と話している。
南区にも海抜表示
市は昨年12月から、湾岸6区と南、保土ケ谷の計8区のカーブミラーなど7700ヵ所に海抜を表示したステッカーを付け始めた。3月末までに海抜10m以下の場所などに設置される予定。英語、中国語、ハングルでも表示している。
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