育児と介護を同時期に行う「ダブルケア」の状況にある人の支援策を考える集会が6月5日、フォーラム南太田で開かれた。市などが主催し、企業や子育て、介護関係の団体代表者らがダブルケアの状況を紹介し、地域、企業ができる支援策を探った。参加した区内の企業担当者からは「まずはダブルケアの存在を知ってもらうことから始まる」と、支援には周囲の理解が第一との声が聞かれた。
集会は市政策局とフォーラム南太田を運営する市男女共同参画推進協会などの主催。少子化や高齢化に関係する課題をどのように乗り越えていくかを考えるために企画された。
集会では、ダブルケアの研究を進める横浜国立大学の相馬直子准教授が報告を行った。その中で、現在、ダブルケアに直面していたり、過去に経験した子育て中の母親が約15%いることや、直面している人の4割以上が仕事を持っているという調査結果が紹介された。
続いて、育児や介護を行う社員を支援する取り組みを行う企業担当者が事例を報告。男性の育児休暇取得を後押しするなど、働きやすい職場づくりを進め、市の「グッドバランス賞」の認定を受ける井土ヶ谷下町の電機工事業「向洋電機土木」総務部の横澤昌典さんは、がんと闘う父親を自宅で介護しながら、5歳の娘を育てている。「自分が率先して休暇を取っている。(育児・介護で)休んでも良いという姿を担当者が示すことが大切」と語った。
「家族の力も」
同局の長谷川孝理事は「家庭環境などに配慮し、抱えている課題を職場や地域で共有することが重要」とダブルケアの支援には周囲の協力が不可欠で市も調査結果などに基づき、取り組みを進めたいとした。同協会の川名薫理事長は「育児、介護を女性1人で担おうとするから『ダブル』になってしまう。夫や家族の力も借りてほしい」と自身の経験も交えて語った。
横澤さんは「働きやすい職場づくりを進めることに同業者からは『それで儲かるのか』と言われたが、この流れを業界や南区全体に広げたいと思う」と話し、「ダブルケアの存在を知ってもらうことがスタートになる」と課題を社会全体で認識することが支援への第一歩だと強調した。
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