一般住宅などで宿泊サービスを提供する「民泊」のルール整備を目的とした「住宅宿泊事業法(民泊新法)」が2018年6月から施行されることに合わせ、横浜市はこのほど、独自の制限を盛り込んだ条例骨子案を策定した。来年2月には市会に議案を提出し、3月ごろの制定を目指す考え。
「民泊」は急増する外国人観光客や宿泊施設不足を補う取り組みとして、注目を集めている。観光振興や空き家の有効活用が期待される一方、宿泊者と住民のトラブルもあるなど、法整備が求められていた。民泊サービスの提供者は旅館業の営業許可を取得する必要があるが、無許可で行っているケースもあるとされる。
「民泊新法」では一般住宅が対象となり、住居専用地域での営業が可能となる。同法は年間営業日数の上限を180日と規定。各自治体は日数にさらに制限を設けるなど、独自の内容を含む条例制定を進める。
月〜木に規制
横浜市では来年3月ごろの制定を目指し、現在、市民意見を募集している段階。市が11月にまとめた骨子案によると、「低層住居専用地域において、月曜日から木曜日まで(祝日等を除く)は民泊サービスの実施を制限する」という内容を入れ込むとしている。
「低層住居専用地域」は、都市計画法に基づき良好な住居環境保護のために定められた場所。ホテルや旅館、店舗、病院は建築できない。営業日の制限には、平日の住宅街における静穏な環境を維持するねらいがある。
横浜市の総面積に対する低層住居専用地域の割合は31・4%で、全国の政令指定都市の中で最も高い。生活環境を保護するとともに、「横浜市の都市ブランドを守る必要性がある」と市は考えを示す。民泊に関する意見を取りまとめる文化観光局は、「横浜は都会的な部分がある一方、横浜らしい都市環境を好んで居住する方もいる。このバランスを重視した街づくりを行うため、条例では最低限の制限を設ける予定」と説明。あくまでも、「住みやすさ」に重点を置く姿勢だ。
市が12月に公表したインターネットを介して民泊サービスを行う施設に関する調査によると、市内で295件の運営を確認。南区には33件あり、中区(85件)神奈川区(40件)に次いで多い。南区生活衛生課にはサービスを始めようと考える人から、年間数件の問い合わせがあるという。
事業者「動向見守る」
昨年夏から住宅の一室を活用し、港北区で「民泊」を始めた男性は、条例での制限について、「平日に実施できないとなると、収益が成り立たなくなるケースもあるのでは」と懸念を示す。一方、「民泊はうまく稼働すれば安定した収益が得られる」とし、様子を見ていくとしている。
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