横浜市内の民生委員・児童委員の不足状態が続いている。定員に対する現員数を示す充足率は4月1日時点で過去最低の94・7%。背景には地域課題の多様化による負担増などを敬遠する動きがあるとみられる。
民生委員は児童委員を兼ねる地方公務員。自治会などが推薦し、厚労省が委嘱。3年ごとに一斉改選する。地域の世話役として高齢者や障害者、子育てなど、援助を必要とする住民と行政をつなぐ役割を担う。
市は200世帯から440世帯に1人を置く計算で、4640人(うち主任児童委員522人)を定数としているが、4月1日現在の現員数は4394人(同491人)。充足率は過去最低の94・7%となった。南区は277人の定数に対し、269人が活動中。市全体の充足率は過去10年、増減を繰り返しているが、半年ごとの集計では昨年から低下傾向が続く。
児童虐待など問題多様化
充足率低下の背景に「地域課題の多様化による業務の複雑化」や「地域コミュニティの希薄化による活動の困難性」などを担い手が敬遠しているという見方がある。最近は児童虐待や就労相談など、専門性が求められるケースもあるという。
市内で民生委員を2期務める女性は「困っている人の力になる大切な仕事。若い人がなってくれたらいいと思うが、なかなか難しい」と話す。地域交流が希薄な地域では、援助を必要とする人を把握することが難しい場合もあるという。また、民生委員を推薦する自治会からは「さまざまな案件に対応できる人を探すのが大変。地域の人脈などを加味するとどうしても年配の人になる」との声もあがる。
市は「負担増にならないよう、行政と市民生委員児童委員協議会事務局のある市社協、各区の民生委員代表の方々と課題把握のための話し合いを始めた」と話す。民生委員制度を周知することで新たな担い手を確保していこうという動きもある。全国の民児協からなる全国民生委員児童委員連合会では5月18日までの1週間を「活動強化週間」とし、各地でPR活動を行う。「まずは知ってもらうことが重要。多くの人に理解深めてもらえれば」と話す。
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