市が進める市営地下鉄阪東橋駅や京急黄金町駅周辺地区のバリアフリー化に関し、検討を進めてきた協議会の地区部会は7月31日、対象地区内の130件を超える課題とそれへの対応策の案を発表した。今後、歩道幅の拡幅や歩道と道路の段差改善などを事業者や施設に求めていき、今年度中にバリアフリーの基本構想原案を国に提出する。
市は06年12月にバリアフリー法が施行されたことを受け、高齢者や障害者、妊婦などの移動や施設利用の利便性、安全性向上を目指し、バリアフリー施策を推進している。各区1地区の策定を目標にしており、南区は浦舟町に区庁舎が移転されることや病院、福祉施設が多いため、阪東橋駅、黄金町駅周辺を選んだ。
実地調査で計測
2駅周辺を対象に、誰もが移動しやすい環境を作ろうと、バリアフリー化へ向けた検討協議会を昨年7月に設置。周辺の町内会長や障害者関係団体の代表者、商店街、市営地下鉄、京急の担当者ら35人を地区部会委員に選び、協議を始めた。10月に2駅や中村地区センターなど、バリアフリー化を図る13施設と歩道や道路などの経路を決定。今年に入り、市民から対象地区内の歩きづらい場所などの課題を募集した。それらの情報を基に、3月下旬に委員や福祉団体関係者など70人が実際にまちを歩き、歩道幅や横断歩道そばの傾斜などを計測。この情報をまとめ、今回、課題と対応策の案を発表した。
基準以下の場所も
対象地区の道路や歩道、施設などに対し、134件の課題をあげた。例えば、浦舟地域ケアプラザや南区社会福祉協議会などが入る浦舟複合福祉施設前の歩道には、パーキングチケットの発券機が設置されており、通行しづらい。市がバリアフリー化などを目指して定めた「福祉のまちづくり条例」に基づく施設整備マニュアルでは、歩道幅の基準は2m以上とされているが、同所の幅は96cm。協議会は発券機の移設などで歩行空間を確保するよう、設置者に求めていく。ほかにも、同所に対しては、横断歩道とつながる擦り付け部分の勾配が急だとの指摘があり、国の基準を超えている部分があった。
来春、国に構想提出
今回示された対応の考え方の案は、事業者側と協議するためのスタートとなるもの。基本構想の内容は、事業者側が5年後までに実施する義務が生じ、多額の工事費が必要になる可能性もある。そのため、今回発表された課題がすべて反映されるわけではない。同協議会の事務局を務める市は「ここからの事業者との交渉が重要」という。今後、事業者と調整を行い、12月ごろに基本構想原案を提案し、協議した上、来年3月末までに国へ提出する。
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