台風18号による崖崩れで中区や緑区で死者が出たことを受け、市は10月10日、危険度の高い203カ所の崖地を公表した。南区は市内で4番目に多い15カ所が対象。これにより、県などが土砂災害警戒情報を発表した場合、自動的に区が避難勧告を発令する。台風19号を前にした緊急的な措置で、今後、市は場所の見直しを行う。(10月13日起稿)
台風18号で大雨が降ったことにより、10月6日午前、中区野毛町では寺の裏の崖が崩れて建物が倒壊。中にいた男性が死亡した。この地域には崖崩れの避難勧告が出ていなかった。
警戒情報で避難勧告
従来、避難勧告は住民から「小石が落下している」「斜面から水が出ている」などの通報を受けた区が現場を巡回し、前兆現象が確認された時に出されていた。
避難勧告が発令されていない場所で死者が出たことを受け、市は迅速に対応しようと、危険度が高い崖地をリストアップ。県や気象台が土砂災害警戒情報を発表した場合、リストアップした崖地周辺の住民に自動的に避難勧告を発令する手順にした。また、避難場所を付近の小中学校とした。
高くて急こう配
県が指定する土砂災害警戒区域内にある約9800カ所のうち、建物があり、高さが15m以上、平均こう配が30度以上の崖地など203カ所を危険度が高い場所に指定。リストは市危機管理室のホームページで公表した。南区は南太田や蒔田町、中村町、別所などの15カ所がリストに入った。
南区役所によると、10日にリストが公表された後、12日までに対象の崖地付近の住民に危険度が高いことなどを知らせる文書を戸別配布。加えて、該当地区の町内会長に電話連絡をするなど、対応に追われた。
民家まで3m
指定された15カ所のうちの一つ、南太田四丁目公園付近は民家の約3m前まで急な崖が迫っている。そばに住む女性は「80年近くここに住んでいるが、今まで崖が崩れたことはない。大丈夫だと思っているので、特別な備えはしていない」と話した。
市建築局は「203カ所の崖地は大きな被害が発生する可能性が高いものを示しており、それ以外の地域でも可能性がないわけではない」という。市危機管理室は「今後、状況を精査し、リストの追加や削除を行う」と随時、見直しを行っていく方針だ。
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