津波による浸水の可能性がある南吉田小学校を地域防災拠点とする寿東部連合町内会(武田勝会長)が11月8日、同校に設置されている津波警報伝達システムの放送用スピーカーを使った避難訓練を行った。区内で津波警報伝達放送と訓練を合わせて行ったのは初めて。町内会側は「放送の存在を知ってほしい」と呼びかける。
市の想定では、大地震により、南区では中区と接する関内方面から吉野町駅付近まで、吉田新田のほとんどの範囲に津波被害が及ぶ可能性があるとしている。
浸水被害最大80cm
南吉田小付近は最大で80cmの浸水被害が予想される。同校が地域防災拠点の同連合町内会は、昨年の訓練で初めて屋上への避難を行った。今年はより実践に近付けようと、津波警報が出された場合に屋上のスピーカーから流れる放送を使って訓練を行うことにした。
スピーカーは津波被害が想定される場所にある公共施設などに市が設置したもの。市内8区に89カ所あり、南区は南吉田小、日枝小と富士見川公園付近の3カ所。区内でこれまで、試験放送を行うことはあったが、避難訓練のために流されることはなかった。
午前8時30分に「訓練です」と前置きした上でサイレンの後に「津波警報が発表されました。ただちに高い所へ避難してください」などの放送が流れると、訓練に参加した約150人が校庭から屋上に避難した。
半径1Kmに届く
市によると、放送は半径1Kmの範囲に聞こえるような音量にしており、区内3カ所のスピーカーで被害想定範囲をカバーできるようになっている。また、訓練では日本語のみだったが、実際には英語、中国語、韓国語でもアナウンスされる。
武田会長は「放送を一度でも聞いておけば、対応が変わってくる」と訓練の成果を強調する。同町内会の防災担当者は同校も浸水の可能性があることから、「放送が聞こえたら、近くの建物の高い所へ上がってほしい」と訴える。
訓練は同校と合同で行われ、地域住民の後に児童も屋上へ避難した。藤本哲夫校長は「これまでも訓練を行っており、整然と避難できた」と評価した。
大音量への理解求める
大音量が流れる放送を行うため、同町内会は住民に向けて訓練の告知を念入りに行うなどしてきた。それでも、訓練で放送が流れると、学校前のマンションの窓から驚いたように顔を出す人もいた。ある町内会長は「早朝なので、赤ちゃんなどがいる家などで迷惑だと感じる人がいるのは理解できる」と話す。
区は「スピーカーの存在を知ってほしい」と放送を使った訓練をほかの地域でも行いたいが、「地域の理解を得ることが第一」と話し、住民の意向を踏まえて方法を考えたいとしている。
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