民話を元にした紙芝居「狐を化かした話」の絵を描いた 宇田川 聖一さん 大井町金手在住 80歳
絵筆がきっかけ
○…大井町篠窪に伝わる民話をもとに制作された紙芝居「狐を化かした話」で作画を担当した。郷土史研究家との共作で3年前から毎年1作ずつ制作してきた。このほど3作目が完成した。「山の夜道でのキツネとの化かし合いの話で、それぞれの場面の”夜”の違いを出すのに苦労した」と振り返る。紙芝居は町の図書館で貸し出される。「大井町に伝わる身近な民話なので、子どもから大人までたくさんの人たちに楽しんでもらいたい」
○…教師として3校目に赴任した大井町の相和小学校で、子どもたちから地域に咲く花や野草の名前を聞かれ、答えることができなかった。「これではいけない」と、花や野草を絵に描き覚えた。それをきっかけに絵を描く楽しさに目覚め、校長時代には卒業生一人ひとりに挿絵入りの色紙を贈った。戦争体験を題材にした紙芝居が県のコンテストで入賞したこともあり、地域から様々な依頼が舞い込むようになった。
○…東京・日本橋生まれの江戸っ子。大学では数学を学び、1960年に山北町の清水小学校で教員生活がスタート。山北、大井、南足柄、中井と渡り歩き、教え子は13歳から60代後半まで、数にしてゆうに千人を超えるという。「定年した今でも街なかで会うと”先生”と声をかけてくれる教え子がいることが嬉しい」。アマチュア無線、水墨画、書道、小説の創作など、趣味も多彩で、最近は米粒に般若心経を書写することにも挑戦している。
○…息子夫婦が建て直した家で一緒に住み始めた。「孫中心の生活になったけど、にぎやかで楽しい」と、3世代家族の暮らしを満喫している。5年前からは町の文化財保護委員も務めている。「形あるものだけでなく、土地に住んでいる人たちが伝承してきた昔話も立派な地域の文化財。財産として大切にしていくべき。子どもたちのために」と描きはじめた絵は今では生きがいのひとつになっている。
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