松田道祖神太鼓研究会の代表として伝統の復活を目指す 川瀬 明宏さん 松田町在住 84歳
伝統の音色、復活を
○…毎年1月に行われる道祖神まつり(どんど焼き)。松田町ではまつりに合わせて各地域で中学2年生までの子どもが集まり太鼓を演奏してきた。しかし別の行事に移行する形で約60年前に途絶えた。その伝統を復活させようと8年前に有志を集めて発足させたのが「松田道祖神太鼓研究会」。当時を知る70〜80代のメンバー約10人が月2回の練習やまつり当日の演奏など、精力的に活動を続けている。
○…かつて太鼓の練習はガキ大将を筆頭に小中学生中心で行われる「子どもだけの世界」で、自主性が育まれる大事な場だった。「時代は変わったけど、勉強だけでなく遊びの中で得られるものもあるんじゃないかな」。体験教室を定期的に開催しているものの、子どもの継続参加はない。思い描く「復活」の難しさは身をもって感じているが、楽しむ姿を見るたびに「あきらめたくない」という思いが湧いてくる。
○…4歳の時に空襲直前の浅草から松田町に疎開。「こっちは子どもがいっぱいいてうれしかったなあ」と振り返る。そんな中、特に熱中したのが太鼓だった。リズムが難しく苦労したが、まつり当日に仲間と息が合うと「みんなと一つになった気がして」。心が躍る記憶は、今も頭の中に残っている。
○…大学卒業後、注射針製造の工場で3年間技術を身につけ、親の工場を継ぐために家に戻った。時代とともに扇子製造、プレス加工と事業を変えてきたが変わらないのは地域とのつながり。通常の仕事の他にも町民からの「表彰メダルを作って」「工場のスペースを貸して」といった依頼も快く引き受けてきた。「町の人に頼まれると協力しちゃうんだよね」。松田を愛する職人の思いは止まらない。
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