舞岡町で造園業を営む木下透さん(63)が4月7日、講談社から本を出版した。剪定のコツと基本的な考え方を紹介しており、本を通じて「木によくない切り方のことを知り、木の寿命などを考えるきっかけの一つにしてほしい」と木下さんは話している。
本のタイトルは『図解と動画でわかる! 剪定「コツ」の教科書 名人庭師のCODIT(コジット)理論で基本が身につく!』。講談社発刊でA5変型184ページ。
剪定とは樹木の枝を切り、見た目を美しくすると同時に不要な部分を切り取って整えることで生育のトラブルを防ぐ効果がある。しかし誤った切り方をすると寿命を縮めることにもつながる。今回の本は、植木屋もなかなか知らないという正しい剪定方法を、図解とともに紹介する内容で、アジサイやサクラ、ツバキ類など樹種別に具体例も示した。また、木下さんが作成したインターネット上の動画の二次元コードも本に掲載することで、より実践的な技術が学べる仕上がりになっている。
「素人切り」が横行
個人の庭を中心に剪定、造園設計などに携わってきた木下さん。1995年ごろに知ったのが、「CODIT理論」という樹木に関する学説だった。
木下さんによると、CODIT理論とはアメリカの学者が30年以上前に説いた基本的な考え方のこと。腐朽菌の進入を最小限に抑える剪定方法として、木を切るときの位置や角度などが説かれているが、「これを知らない植木屋も多い。ハサミとのこぎりがあれば、素人でも木は切れる。しかし、間違った切り方をすると木は枯れやすくなってしまう」と木下さん。
HPや動画で発信
こうした現状を変えようと、CODIT理論を活用した剪定方法を紹介するWEBサイトを2000年のインターネット黎明期に開設。また、5年前にはYouTubeによる動画発信も開始した。現在チャンネル登録者数は4・8万人を超え、100万再生以上にもなる回があるという。
こうした活動を評価され、20年には横浜市が選ぶ優れた技能職者「横浜マイスター」に認定された。その評判を出版社が聞きつけ、執筆の依頼を受けたのが1年ほど前のことだ。
木下さんは「木を『ただ切ればいい』『安い業者でいい』などと安易に考えてほしくない。誰かに頼むにしてもきちんとした見極めが大事。木にとっても私たちにとってもより良い生活が送れるようになれば」と語る。
本は全国書店やインターネットで手に入る。税込み1650円。
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