横浜市はこのほど、市内の商店街の実態や消費者の購買行動をまとめた2012年度の調査結果を発表した。ニーズが高い生鮮食品を扱う店が少なく、商店街の構成業種に偏りが生じていることや、消費者が求めるサービスが実施されていない現状も明らかとなった。
この調査は商店街振興施策の基礎資料とすることを目的に市が3年ごとに行っているもの。昨年11月から今年1月にかけ、横浜市商店街総連合会(市商連)加盟の289商店街と20歳以上の市民3000人を対象に実施された。
商店街が抱える悩みで上位を占めたのは、「売上・来街者の減少」「経営者の高齢化」で、「業種のバランスの悪さ」がそれに次いだ。業種バランスについては消費者が商店街に望む業種で最多の「書籍・文具」店がある商店街が全体の3割強にとどまっていることや、生鮮三品(魚・肉・野菜)のいずれかを扱う店がない商店街が半数を超えていることからも伺える。
消費者側からも、商店街を利用しない理由に「一カ所で用事がすまないこと」をあげる人が最多だったことから、魅力ある商店街づくりには偏りの是正が求められていると言えそうだ。
この点に関し、市商連の岡野誠一会長は「威勢のいい掛け声が響く生鮮三品の店は商店街を活気づける」としながらも、「大型店などの台頭で、新規開店するのは処方箋薬局や診療所など競合の少ない業種に限られる」と苦悩をのぞかせる。
一方、大型店と比較した商店街の満足度(『満足』『やや満足』の合計)は、「自宅近くで便利」(55・9%)を筆頭に、「店員が親切」(37・8%)「店に信用がある」(32・6%)が続き、消費者は対面商売ならではの交流を重視しているようだ。だが、駐車場など施設面は「不満」が過半数、チラシなど情報発信力の弱さや商品配達サービスも満足度が低かった。
特に「宅配」は消費者が求めるサービスの上位にあがり、商店街も今後取り組むべき活動と捉えているが、実施意向は低いとの結果もでた。岡野会長は、「高齢で外出困難な顧客も多く宅配の必要性は感じるが、人手不足で難しい」と明かす。
商店街を巡る状況は様々な条件下で厳しさを増すが、岡野会長は「近場で買い物できる長所を生かしたい」と、生き残りに懸命だ。
戸塚は空き店舗数最少
今回、戸塚区内9商店街から得た回答を見ると、特徴的なのは抱える悩みの第1位がほとんどの区で「売上・来街者の減少」であったのに対し、「魅力ある店舗の不足」が77・8%と市内トップ。1商店街あたりの空き店舗数は市平均が2・68件だったところ、区内では1・67件と市内最少だった。
経営者が65歳以上の店舗が正会員数を占める割合(高齢化率)は市平均の30・9%を上回る33・5%。また、1商店街の店舗数は31・8で、市平均の48・9を下回るなど、商店街規模が小さいことが伺える。
会員の高齢化も指摘される中、商店街活動に参加する会員数が「増えた」と回答したのは11・1%だったのに対し、「減った」は3倍の33・3%に上った。
宅配サービスや出張販売は市内で8割近くが「どちらも実施していない」と回答。中には100%実施していない区がある中、区内では16・7%が実施している状況も明らかになった。
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