県では５連覇を達成した野球部
横浜市立戸塚高校定時制野球部は、明治神宮野球場などで８月17日まで開催された「第60回全国高等学校定時制通信制軟式野球記念大会」に神奈川県代表として出場し、３年連続となるベスト16入りを果たした。
秋季大会を含めると県では目下４連覇中。近年神奈川で圧倒的な強さを誇る同校は、今大会も県予選を危なげない戦いぶりで勝ち抜き、３年連続４回目となる全国大会出場を果たした。
45校で優勝を争う全国大会は、初戦で大分工業（大分県）を17対０と圧倒し、２回戦も有朋（北海道）に逆転勝利。過去２大会で敗退している鬼門の３回戦は、全国大会常連の朱雀（京都）相手に引き締まった投手戦を演じながらも惜敗し、初のベスト８進出を逃した。
「負けて悔しいけれど、３年連続で県代表になれたのは後輩が本気で自分たちを全国へ連れていこうと思ってくれたから。神宮というすごい球場で試合ができて嬉しかった」とキャプテンの高橋慶太さん（３年）。小嶋一紀監督も「遠征時は上級生が下級生の荷物を持ってあげるなど、互いを思いやる気持ちがある」と評し、好成績の要因には、絶大な信頼を置く徳永護さん（３年）と林悠斗さん（３年）のバッテリーの活躍に加え、仲間意識の強さをあげる。
県優勝は”通過点”
部員16人。日中は電気工事業、ファストフード店、コンビニエンスストアなどで働く。近年の就職難から雇用形態はアルバイトがほとんどだ。授業は午後５時30分〜８時45分。職場から登校する者も少なくない。夜間照明が灯る静かな校庭で練習が始まるのは９時過ぎ。帰宅は深夜近くなる。
定時制には、中学で不登校やひきこもりを経験した者など複雑な過去を抱える生徒も多く学ぶ。かつては野球部でも部員が消極的で、練習に１人しか参加しない時代もあった。
だが、現在は外見こそつっぱった部員もいるが、部活に打ち込む姿勢は真剣。県優勝はもはや「通過点」と捉え、常に全国を見据える意識の高さだ。小嶋監督は「昼間働き、世間のゴールデンタイムに授業を受け、部活も頑張り全国に行く。ただただ立派」と称える。
チームのエースで昼間は引っ越し業者で働く徳永さんは、「野球と仕事の両立は最初はきつかった。でも、大好きな野球があるから、仕事も勉強も頑張れる」。夢は幼稚園から変わらずプロ野球選手。「定時制からプロって、実現できたらすごくないっすか。定時制の皆に夢を与えたいですね」
照明が灯る校庭での練習は午後9時開始
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