横浜舞岡病院(加瀬昭彦院長)は横浜市から事業運営を受託し、市が厚生労働省の指針に基づいて設置を進める「横浜市認知症疾患医療センター」を1月1日付で開設した。
高齢化に伴い増加傾向にある認知症患者。発症後も住み慣れた場所で暮らすには、症状に応じた適切な医療の提供に加え、地域における医療と介護の連携強化が求められる。
認知症疾患医療センターの設置はこうした課題解決が目的。市内では昨年1月に南部医療圏にある横浜市立大学附属病院に開設され、今回西部の舞岡病院、北部の横浜市東部病院に新設されたことで、市内全域を網羅する形となった。
センターが担う事業は、在宅療養の充実を目的に地域包括支援センターや介護サービス事業所と連携して行うのが特徴。認知症が疑われる患者のかかりつけ医による紹介をもとに発症の有無や原因を調べる鑑別診断などを行い、結果に応じて介護者が在宅療養できるよう支援する。認知症の知識向上をめざし、地域の福祉や医療従事者へ研修会も実施する予定という。
早期診断で在宅生活維持
認知症患者を介護する家族は、相談すべき機関が分からなかったり、相談することに罪悪感をもつ人もいると相談員の齊藤雄太さんは指摘する。一方、薬物治療とあわせ、デイサービスのレクリエーション活動を通じて症状が軽減されたケースもあるといい、「家族を施設に入れたくないという気持ちを尊重しつつ、介護者が共倒れしないように方向性を示したい」と話す。
認知症とは、脳の萎縮や血管障害などで引き起こされる知的能力障害。通常の老化でも例えば「しまった場所を思い出せない」という物忘れは起こりうるが、認知症では行為自体を覚えておらず、他人に盗まれたと思い込むなどの”周辺症状”が現れるのが特徴だ。
その原因には水頭症や硬膜下血腫といった脳外科的疾患が含まれていることも少なくない。一方、うつ病などでも認知症に似た記憶障害がみられることもあり、加瀬院長は「抗認知症薬の導入や専門医療機関への紹介などしかるべき治療を施すことで、在宅生活を維持することが可能になる」として、早期診断・治療の重要性を訴える。
一方、認知症予防は「確固たる方法はない」としながらも、「脳の情報を出し入れする他人とのコミュニケーションは有効な手段と言える」と話していた。
鑑別診断や医療相談は【電話】045・822・2169(平日午前9時〜午後4時)、横浜舞岡病院へ。
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