横浜市消防局の救急出場件数が2011年以降増え続けている。今年も最多だった前年を大幅に上回るペースで推移しており、このまま行けば5年連続で過去最多を更新することが予想される。
2014年の救急出場件数は17万6119件で、平均すると1日あたり483件。今年に入ってからも増加傾向は続き、上半期の出場件数は前年同期比832件増の8万7317件だった。このまま推移すれば過去最多の更新は必至の状況だ。
行政区別では中区・港北区・鶴見区などで出場件数が多く、市消防局は「オフィスや商業・観光施設などが多いエリアでもあり、昼間人口の多さも影響しているのでは」と分析する。
高齢化が一因
人口の高齢化も件数増加の要因の一つ。総人口に占める65歳以上の割合が21%を超えると「超高齢社会」とされるが、横浜市はこれを13年に超え、その後も上昇傾向。高齢者は寒暖の影響を受けやすく、症状も重症化しやすいことがあり、救急需要は今後ますます拡大していく見込み。市の推計によると、20年には救急出場件数が20万件を超えるという予測もある。
3区で増隊
現在、救急隊は市内に64隊。この内16隊が年間3千件超、さらに5隊は3千500件超の出場を行っている。増加する一方の救急需要の中で、救命率を向上させるには出場以外の面でも体制強化が不可欠だ。消防局は軽症がおよそ半数を占めるという実態分析から、市民が救急要請の前にできることの周知を図っている。 近年ケガによる救急搬送の増加率が高いが、大半は事前の危険予知で予防可能なものが多い。そこで生活シーンに合わせ対策を紹介する冊子を作成した。
また、救急車を呼ぶか迷った際にスマートフォン等で質問に回答することで必要性を判定できるサイトを運営しているほか、救急要請時や現場到着時に内容から緊急度や重症度を識別するトリアージにより、救急隊の弾力的な運用も進めている。
一方で、今年度中に泉区・西区・青葉区に救急隊を各1隊(救急車1台・救急隊8人)ずつ増隊。その後も平均到着時間や件数などを考慮しながら重要度の高いエリアへ増隊し、人口基準に合わせた指針に基づく77隊まで増やす。
消防局担当者は「救える命を救いたい。今後も、隊の増隊や地域医療機関等との連携を進め、真に必要な人の所へ救急車を向けることが重要と考える」と話している。
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