戸塚図書館は11月の「児童虐待防止推進月間」に合わせ、幼児から中学生を主な対象に、虐待から心身の守り方を伝える本の展示コーナーを館内に設置中だ。紙芝居や絵本、ノンフィクションなど多様な書籍をそろえ、啓発活動に力を入れている。
子どもが読んで理解できる、児童虐待や性暴力、いじめ、防犯などの児童書を戸塚図書館は今回、「子どもSOSの本」と名付け、85冊を展示している。
今企画のそもそものスタートは今年1月、千葉県野田市で小学校4年生の女児が父親からの虐待により死亡した事件がきっかけ。この件を重く見た同図書館では、啓発事業を行うこととし、まず、司書3人からなる「児童書選定担当」が、児童虐待関連図書が館内に30冊あることを確認。4月から10月までに新たに27冊購入を進め、11月の「防止推進月間」にまとめて展示を開始した。選定基準は「子どもの視点で虐待が分かること」にしたという。山崎祐司司書は「本を読んだ子どもたち自身が『自分がいま、虐待やいじめを受けていないか』と認知できる知識や気づきを提供したかった」とその理由を語る。
展示本の一例としては「あなたはちっともわるくない」(安藤由紀著)。幼児が読みやすいように工夫されたこの絵本の登場人物は動物。大人から暴力を受けている「ちびくまくん」の体にアザがあることに気づいた医者の「やぎ先生」が、声をあげて助けを求める重要性を伝える内容だ。
長谷川祐子館長は「大人や学校の先生たちにも見てもらい、地域一体となり子どもを守っていく意識を作っていければ」と語る。展示は12月25日(水)まで。
市全体2809件増加
横浜市全体の2018年度の児童虐待の対応件数は前年度から2809件増の9605件となっている。経路別では区役所には医療機関、学校、家族・親戚、近隣・知人などからの相談が、児童相談所には警察などからの通告が増えている。市では「児童虐待への関心が高まっており、早い段階で市民からの通告が増えている」と現状を分析している。
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