大都市制度のありかたについて全国的に関心が高まる中、特別自治市の実現をめざす横浜市は来年3月をめどに「横浜特別自治市大綱」を8年ぶりに改定したい考えだ。年内に諮問機関の答申を受ける予定で、大綱をもとに引き続き国への要望を続けていく。
全国的に注目を集めた中、大阪市で11月1日に開票が行われた「大阪市廃止・特別区設置」の是非を問う住民投票は、賛否がきっこうする中で反対多数となった。2日に林文子市長は指定都市市長会会長として「関心が高まっている今こそ、それぞれの地域にふさわしい大都市制度を実現することが必要」と談話を出し、制度見直しは急務との考えを示した。
議論の背景には、大都市で急速に進む高齢化や今後整備が必要となる公共施設の老朽化に伴う保全・更新への費用増大といった行政課題がある。横浜市は市長の諮問機関として「大都市自治研究会」を設置して検討を重ねており、同研究会の答申を年内に取りまとめた上で、来年3月までに大綱を改定したい考え。
「二重行政解消」が論点
横浜市のめざす特別自治市の主眼は「市内で神奈川県が担っている事務を全て市に移して二重行政を解消する」というもの。市政策局の担当者は特別自治市のポイントとして▽現在市と県の間で権限が分かれる河川管理やがけ地の対応などを一本化でき、効率化が図れる▽あわせて市行政の仕事量に見合う地方税の配分をめざす――とする。
これに対し、県は「二重行政はない」とみており、個別に調整して権限を委譲すれば足りるとし、税収など県内他自治体への影響もあることから慎重な姿勢を示す。
神奈川大学経営学部(財政学)の青木宗明教授は「税源を移せば県内自治体に当然影響は及ぶが、横浜が責任をもって財政面など周辺自治体をフォローしていく方法もあるはず」と指摘する。
制度実現には国の法整備が不可欠で、市は国への要望を続けていく。市政策局の担当者は「住民の理解を深め、メリットを感じてもらうことも重要。丁寧に意義を周知していきたい」と話す。
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