横浜市は、病気や障害のある家族の家事や世話などを担う18歳未満の子ども「ヤングケアラー」の実態把握調査などの費用を、2022年度予算に初めて盛り込んだ。夏休み前までに調査を実施し、支援の方向性を探っていく方針だ。
ヤングケアラーは、本来大人が担うような家事や介護などを日常的に行う子どものこと。ケアの経験を将来に活かす子どもがいる一方で、自分の時間が取れず、学業や就職へ支障が出たり、交友関係が希薄になり孤立してしまうケースもあり、問題となっている。
厚労省などが20年度に行った調査によると、中学生の約17人に一人という結果が報告されており、国では支援を強化。この動きを受け、横浜市でも実態調査を進める。
調査は市立小学校5年生、中学校2年生、高校2年生の6万人弱を対象に、夏休み前までに実施予定。GIGA端末などを使い、国の調査と合わせた基本的質問に加え、当事者がどのような支援を望んでいるか自由記述する欄も設ける。市は「子どもが自分の時間を持つことは大切。結果をもとに求められる支援を行いたい」とする。
市内鶴見区でヤングケアラーやその家族を支援する(一社)Omoshiroの勝呂ちひろさんは、自治体が調査に乗り出すことについて「見つけようとしないと見つからない子どもたち。まずは数字を把握することで必要なアプローチができる」と期待する。
当事者も自覚なし
一方でヤングケアラーという言葉の認知が低いことも課題だ。勝呂さんは「当事者にとっては日常なので自覚がなかったり、周囲の人が受け入れる環境でないとSOSが出せない」と説明。支援につなげるためにも「子どもには手助けされる権利があって相談していいと伝えることが必要」と訴える。そのために市は、調査と共に当事者や市民向けリーフレット発行などで啓発を図る。市は「日本は家族のことは家族でという意識が根強いが、人によって限度が違う。辛い時は吐き出していいと思えるよう取組を進めたい」とした。
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