1日あたり最大で横浜スタジアム約1・2杯分に相当する35万6千㎥の浄水能力を持ち、相模湖から取水した水を浄化・消毒し、保土ケ谷や鶴見、神奈川、中、西、南区など市域北東部方面に給水している西谷浄水場がこの春、創設100年を迎えた。
国登録有形文化財に指定されている建造物が数多く残る西谷の”水道遺構”は日本初の近代水道として128年前に誕生した横浜水道3つ目の浄水施設として1910(明治43)年8月から工事が進められた。
大卒初任給が35円程度だった当時、74万7301円52銭4厘という巨額の事業費を投じた一大プロジェクトで、自然流下で送水できるようにと西谷の丘を建設地に選定。同浄水場の猪狩有樹運営係長によると帷子川を使い資材を運搬し、丘上にはケーブルカーで運び上げたという。
5年がかりの築造作業を経て8つのろ過池と2つの配水池が整備され、1915(大正4)年3月に落成の時を迎えると場内では余興に相撲をするなど、多くの人が集い賑わいを見せたという。
近代水道発祥の歴史は開港と関係している。開港を機に横浜の人口は急増。住民は井戸を掘り水を求めたが、埋め立て地を中心に街が形成されていたため、塩分濃度が高く飲み水には適さなかった。
コレラの大流行や消火活動にも支障をきたす状況を受け、衛生的な近代水道の必要性が高まり1887(明治20)年に現在の相模原市北部から野毛山まで44Kmの水道管を引き給水を開始。国内初の近代水道が誕生した。
西谷の浄水場はその後の拡張工事で100年前に誕生。場内には当時、築造されたレンガ造りの整水室などが現存し、7つの建物が1997(平成9)年に国の登録有形文化財に指定されている。
3月28日には創設100年を記念した企画として特別見学会を実施。約30人が登録文化財をはじめ、普段は目にすることができない2008(平成20)年まで実際に使われていた配水池など「遺構」を見学した。
同様の見学会は4日(土)にも企画されている(雨天時翌日順延)。午後2時からで、当日午前9時から申込み受付。問合せは西谷浄水場【電話】045・371・5335へ。
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