東日本大震災の2年後の2013年から帷子川で行われている鮭の稚魚を放流する事業で12月12日、岩手県山田町の漁協から受精卵が届いた。卵は幼稚園や小中学校など区内を中心に30カ所で育てられ、来年3月11日(日)に放流される予定。
震災で大きな被害に見舞われた山田町出身で上菅田町に暮らす石崎久仁王さんの呼びかけで集まった有志らが、震災から2年後の春に鮭の稚魚150匹を放流したことが始まりとなり、今回は5千個の受精卵を育てる。
同川はかつて「横浜で一番汚い川」と呼ばれた。取り組みは東北の震災からの復興を願う気持ちと同時に
近年、アユの遡上が確認されるなど帷子川が豊かな環境を取り戻しつつあることを地域住民らに知ってほしいという思いがある。
当初は同町から譲り受けた卵を東京海洋大学の協力を得て孵化させていたが、15年からは受精卵を区内で飼育。今年も幼稚園や小中学校などが協力し、水槽で卵の成長を見守る。
「帷子川に鮭の稚魚を放流する会」(竹村泰長会長)の関係者は「秋鮭が不漁な中、譲っていただいた貴重な卵。水質の管理などに注意しながら大切に育てていきたい」と話す。
鮭は一般的に4、5年後には放流された川に戻る習性があり「初回から5年目。鮭が帷子川を泳ぐ姿が見られるかもしれない」と期待を寄せている。
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