昭和初期に流行り病から村を救ったと川島地区に言い伝えられる民話「帰りたかったご本尊」に因み、物語の中心舞台となる川島小学校の近くにある松月庵に、5月上旬から新型コロナウイルスの終息を願う地域住民らが手を合わせる姿が数多く見られるようになった。
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川島町のりょうけ坂の途中にひっそりと建つ松月庵は元禄7(1694)年に尼僧により建立された。阿弥陀坐像が本尊として安置され、地域の村人に親しまれてきたが、明治元(1868)年に住職が亡くなると無住の庵となり、荒れ放題に。阿弥陀坐像は本寺の隋流院に移された。
明治の中頃、仏向村からキヨという娘が川島村の三村家に嫁いできた。キヨは主を失った松月庵を訪れ、毎日のように草刈りや掃除の汗を流した。
昭和初頭、川島村では「流行り病」により多くの人が命を落とした。キヨは毎日、松月庵に立つお地蔵様に「どうか村人をお守りください」と祈願。そんな生活をしていたある晩、キヨの夢枕に阿弥陀様が立ち、こう語りかけた。「私は松月庵に帰りたい」。
キヨからこの話を聞いた村の若い衆が中心となり、荒れ果てた庵の再建に着手。本尊を村に迎えると間もなく、多くの村人を苦しめた流行り病は収まったという。
この民話は昔話の紙芝居を製作・口演している市民グループ「『ほどがや』えかたり〜べ」が一昨年に作品化。5月に入り、物語を伝える印刷物を刷り地域に回覧した。庵を訪れた地域住民のひとりは「早くコロナが収まれば。そうお願いした」と話した。
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