津波が押し寄せ大きな被害を受けた仙台港近くにあるアウトレットで被災した永井政志さん・由美子さん夫妻=写真。帰省していた娘・沙蓉さんと共に買い物を楽しんでいたその時、経験したことのない強烈な揺れに見舞われた。
立ち続けることがでず、しゃがみ込む3人。靴が滑るほど強い揺れに翻弄され、体勢を保つことができない。地面からは地鳴りが聞こえる。親子3人肩を寄せ合い揺れが収まるのを待った。
政志さんは幼少期にチリ地震による大津波を体験。津波が押し寄せ川の水が溢れる光景を鮮明に記憶している。その後も宮城県沖地震を経験。10年前のあの時、「津波が来る」と直感し、揺れが収まるまでの間、「すぐに逃げなくては」と考えていたという。
車に乗り込み塩釜市内の自宅へ向かう道中、少しでも早くと、海沿いの道に入ろうとした瞬間、由美子さんが「そっちは海」と声を発し、ハンドルを切り直した。
「津波到達まであと10分」。車内に響くテレビの音声が気持ちを焦らせる。渋滞していた自宅近くの交差点を迂回し、脇道に入り高台にある自宅へとたどり着いた。「もし海沿いの道を選んでいたら、どうなっていたか」。九死に一生を得た分岐点だったのかもしれない。
震災前、一級建築士事務所を構え松島基地周辺防音工事を受託する仕事に従事していた政志さんだったが、基地周辺の住宅が津波で流出し防音工事事業が消滅。夫妻は2015年に娘夫婦が暮らす上星川に移り住んだ。
見ず知らずの土地で始まった新たな暮らし。娘の助言もあり、2人揃って健康麻雀のレッスンプロ資格を取得。市内で教室を開くなど、新たな一歩を踏み出した。
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