横浜市が実現を目指す「特別市」のシンポジウムが3月9日、慶應義塾大学日吉キャンパス=港北区=で行われた。
特別市は、市が県の区域外となり、原則として県の仕事を担い、権限や財源を市に一本化する制度。横浜市は二重行政解消による無駄の削減やきめ細かい行政サービスが提供できるとしている。実現には法制化が必要で、他の政令市とともに実現を目指している。
シンポジウムは市民に制度を知ってもらおうと市が企画。前半は自治制度に詳しい一橋大学教授の辻琢也さんが講演し、「住民に最も身近な基礎自治体が国と直接対峙できる仕組みとして特別市が必要」と訴えた。
後半は山中竹春市長と辻さん、横浜市出身の俳優・五大路子さんが座談会を行った。五大さんは、現在の自治制度での災害対応について質問。それに対して山中市長は崖地の例を出し、「県は危険な区域指定、市は二次災害防止措置と役割が分かれている」と対策が一元化できる特別市の利点を説明した。
最後に山中市長は「法制化へ向けて国や政党に全力で働きかけをしていく」と意欲を示した。
参加者からは「現状の制度の課題が分かった」と市の考えに理解を示す声が聞かれた一方、「市の言い分だけではなく、県の説明も聞かないと特別市が良いのかどうか判断はできない」と議論する材料が少な過ぎるという意見もあった。
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