寄稿 自治基本条例制定10年の検証 川崎市議会議員 いのまた美恵
川崎市の自治基本条例が2004年12月22日に公布され、ちょうど10年目となります。
「市民主役のまちづくり」を実現するため、公募による市民の60回にも及ぶ議論を経て作られた条例です。「情報共有の原則」、「参加の原則」、「協働の原則」という3つの基本原則が貫かれています。条例制定後10年間にどこまで市民自治が成熟してきたか、制度が的確に運用されてきたか検証する必要があると思います。
議会への陳情請願件数は10年前68件でしたが昨年は61件でした。市長への手紙は、10年前1974通でしたが昨年は1169通でした。これらを市政や政治への参加意識として見ると、先の選挙の投票率が過去最低という状況にもつながります。「参加の原則」については、議会常任委員会での陳情請願者の陳述の機会が市民の政治参加として必要にもかかわらず、閉ざされたままです。市長への手紙も通り一遍のものです。制度の見直しが必要です。「情報共有の原則」は、特定秘密保護法が今年12月10日に施行され、今後どう情報が管理されるのか注視が必要です。「協働の原則」では、行政と市民の協働でまちづくりを進めるとしながら、将来のまちづくりに大きく係る再開発等では、街をみんなで考え話し合う機会はどこにもありません。開発業者によるまちづくりとなっています。もう一度自治基本条例制定時の思いに立ち返り、お任せではなく自分たちで地域を作る楽しさを見つけ出そうではありませんか。若い人たちはお任せで諦めるより、自分たちが生きていくこれからの社会を、自分たちで創り出してほしいと願っています。
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4月26日