詩集『二ヶ領用水』を今月出版した 中村 吾郎さん 木月祇園町在住
地域愛で綴る「心模様」
○…同じ水ではなく 同時代でもない けれどいつも 同じ流れに似て いのちは一途に――。半世紀暮らす地元への感謝を込めて昨年1年間、大好きな二ヶ領用水に毎日足を運んで編んだ27の詩を一冊に。「自然も人も温かい場所。住人がこのまちを誇りに思うきっかけになればうれしいね」と頬を緩める。矢倉橋のそばで、住吉小から聞こえる子どもの声に耳を傾ける時間が至福。「古い歴史を持つこの川と交わって、時代の繋がりを感じるんだ」。日常の静かな移ろいと向き合い、今日もペンを走らせる。
○…山梨県出身。15歳で母が他界し、「母親代わり」の長男として弟3人の面倒をみた。学校が終わるとまっすぐ家に帰り、実家の畑仕事を手伝う毎日。厳格な父に甘えられず、弱音を吐く方法として始めたのが日記代わりの詩だった。「とにかく忙しかったから、短文で済む詩がぴったりだったんだ」
○…東京の大学を卒業後、国語科の教師になり定年まで勤め上げた。「人生をかけて若い人に文章を書く喜びを伝えられたと思っているよ」と誇る。結婚を機に中原区へ。井田山や平和公園の「都会に隠れた自然」に趣を感じ、気分転換に足を運ぶ。「静けさの中、耳を研ぎ澄ますと生物が動く音が常に聞こえる。生命を感じて元気になれる」と思いを込める。
○…これまで数えきれないほどの詩を綴り、イメージが溢れると時間を忘れて没頭することも。「何時間も部屋にこもったり、夜更けまで帰宅しなかったり。妻には迷惑をかけっぱなしだよ」と苦笑い。書き溜めては詩集を作り、出版したのは30冊以上。「自分が綴った言葉が、誰かの希望になるかもしれない。隠しておくのはもったいないからね」。優しい眼差しで地元を見つめる。
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4月26日
4月19日