神奈川科学技術アカデミー(高津区)の講演会で講師を務めた元宇宙飛行士 山崎 直子さん 県内在住 42歳
追い続ける、宇宙への夢
○…「宇宙での生活は、無重力状態そのものが面白い。宇宙船から見る地球は、とても美しくて見飽きることがありませんでした」。2月28日、神奈川科学技術アカデミー(高津区)主催の講演会で、宇宙開発と今後のものづくりについて講話。10日間を過ごした国際宇宙ステーション(ISS)での生活など、次々語られる「宇宙体験談」が多くの聴衆を魅了した。
○…2010年4月からISSに滞在し、ロボットアームでの物資補給など重要任務に従事した。船内の公用語は英語だが、先に搭乗していた野口聡一さんとは「『おはようございます』などと、日本語も使えて嬉しかった」と笑顔で語る。秒速約8キロ(時速約2万8000キロ)で飛行するISS。90分で地球を1周し「日に16回、日の出と日の入りが見られました」。大量の物資管理には手を焼いたが、乗組員との会食や、休日にチェスやインターネット中継に興じる仲間との交流など、楽しみが尽きない宇宙生活だった。
○…千葉県松戸市生まれ。学校の先生になるのを夢見る少女だった。地元のプラネタリウムで見た星空や、アニメ「宇宙戦艦ヤマト」に胸を打たれ、次第に壮大な宇宙へと心引かれていった。「最初は宇宙船を造ってみたいと思っていた」という。東京大学などを経て、現在の宇宙航空研究開発機構(JAXA)に勤務。2度にわたる受験で宇宙飛行士候補者に選抜され、11年がかりで憧れ続けた宇宙に飛び立った。11年にJAXAを退職後、昨年7月、内閣府の宇宙政策委員に就任。現在は宇宙の専門家として、宇宙開発の重要事項の調査、審議などに携わる。
○…JAXAの研究所が相模原市にあるなど「神奈川県はなじみ深い場所です」。いつか「家族と宇宙旅行に行きたい」と笑顔を見せる元宇宙飛行士の夢は「月で寺子屋を開くこと」。学校の先生に憧れた少女時代の夢を、月面で果たす日を心に描いている。
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4月26日
4月19日