阪神・淡路大震災の発生から明日で20年。被災地での教訓をもとに、災害時に地域の拠点となる銭湯の整備を目標に活動している「鎌倉に震災銭湯をつくる会」(岩井健作代表)も設立から4周年を迎える。同会はこのほど、記念シンポジウムと映画上映会を開催。神戸で被災した男性を招き、復興の現状について話を聞いたほか、同会が進める「震災銭湯」の役割について意見を交わした。
「震災を忘れない!阪神・淡路大震災20年を覚えて」と題したシンポジウムは1月12日、市内佐助の恩寵教会で開催された。当日は約20人が参加。東日本大震災後の岩手県宮古市の診療所を追ったドキュメンタリー映画の上映のほか、兵庫県被災者連絡会会長の河村宗治郎さんをゲストに招いてのトークが行われた。
神戸市で行政書士として働いていた河村さんは、震災で職場兼自宅を失い、避難所生活を経験した。自治体が借り上げて被災者に提供した災害復興住宅の期限が迫っていることなど、20年を迎えようとする被災地の課題をあげ、「町並みは戻ってもまだまだ生活再建できていない被災者は多い。復興、未だ成らずと言わざるを得ない」と語った。
同会が整備を目指す「震災銭湯」に話が及ぶと、河村さんは「震災発生後、風呂に入れたのは3月15日。日常生活が突然奪われるのが災害」と語り、岩井代表は「仮設住宅の風呂は利用者負担が大きく、自衛隊が用意する風呂は衛生面などに問題がある。だからこそ、銭湯が必要」と話した。
銭湯を災害時の拠点に
シンポジウムを開催した「鎌倉に震災銭湯をつくる会」が発足したのは、阪神・淡路大震災からちょうど16年となる2011年1月17日。きっかけはその前年、市の事業仕分けにより「高齢者入浴助成券」「デイ銭湯」など銭湯に関わる事業が廃止の検討対象になったことだった。
神戸の教会で牧師をしていたときに被災した経験から、岩井さんは「災害時に拠点となる銭湯を廃れさせてはいけない」と危機感を抱き、銭湯友の会などと連携して署名活動を展開。約1万3千筆を市に提出した。その後、災害拠点となる「震災銭湯」構想の実現を目指し活動を開始、発足から2カ月後に東日本大震災が発生したことから、映画会の開催などを通じた被災地支援も継続して行っている。
岩井さんは「当時、被害を免れた銭湯の再開情報が流れると、散り散りになっていた地域の人が次々と集まってきた。心身の疲れを癒すことはもちろん、情報交換など貴重なコミュニケーションの場にもなる。この考えを多くの人に浸透させ、いざという時に役立てたい」と話した。
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