市教育委員会は、4月に入学する小学1年生全員に防犯ブザーを配布する事業について、財源不足に加え「一定の役割を果たした」ことなどを理由に中止を決定した。しかし保護者や市民団体による復活を望む声を受け、市こどもみらい部の事業として来年度以降も継続されることになった。防犯団体の関係者らは「教育の一環としてブザーを配布してほしかったので市教委の決定は残念」と話す。
市教委によれば、新小学1年生への防犯ブザー無償配布が始まったのは2005年。01年に大阪教育大附属池田小学校で、児童8人が犠牲になる事件が発生したことなどを受けての対応だったという。
本紙の取材に対し市教委は、配布中止の理由について「財源不足に加え、防犯ブザーについては市教委の役割はすでに果たしたという認識がある」とする。
開始から10年が経過したことから「一定程度の啓発はできたと思う。子どもたちが自分の身を守らなければいけないのは登下校の時だけではない。日常生活における防犯意識を高めてもらうため、今後は家庭でも防犯教育に力を入れてほしい」と話す。
しかし事業中止の方針が明らかになると保護者をはじめ、各方面から継続を求める声が上がった。そのうちの一つ、市内のイベントや名所などの警備を行う防犯ボランティア団体「鎌倉ガーディアンズ」(大津定博代表)は1月9日、松尾崇市長を訪問し、要望書を手渡した。
こうした動きを受けて市は、今年に入り子育て支援や次世代育成、児童福祉を担当する「こどもみらい部」が今年度予算で防犯ブザーを購入、新1年生に配布することを決定した。来年度以降も同部が予算を計上し、事業を継続していく予定という。
「防犯教育の充実を」
要望書を提出した鎌倉ガーディアンズの大津代表は、小学校入学直後の児童が犯罪に巻き込まれることが多いことから「7歳児の危機」をかねてから指摘、地域ぐるみによる防犯活動や啓発を行ってきた。
そのため今回の市教委の決定について「防犯ブザーには、機能による安全の確保や犯罪抑止効果だけではなく、防犯教育のアイテムとしての役割も大きい。教育委員会が自ら防犯教育を行う機会をなくしてしまったことは残念だ」と話している。
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