鎌倉市と公募市民により構成される鎌倉平和推進実行委員会が、3作目となる「戦争体験証言記録DVD」を作成した。関係者らは「戦争体験を直接伝えることが難しくなっている。この取り組みを通じて、多くの人に伝えることができれば」と話している。
鎌倉市と鎌倉平和推進実行委員会はこのほど、平和推進事業の一環として「戦争体験証言記録DVD―横浜大空襲編」を作成し、市立小・中学校と各図書館に配架した。
これは、戦争を知らない世代の増加と戦争体験者の高齢化が進んでいることから、市と同委員会が協働で2013年度から作成しているもので、3作目。
今回、証言を収録したのは小野静枝さん(横浜市在住・84)。小野さんは1971年に「横浜の空襲を記録する会」に参加し、『横浜の空襲と戦災』(全6巻)の刊行に携わった。また、戦災障害者運動にもかかわり、『その日を生き続けて〜空襲による障害者の記録〜』を編著。03年からは鎌倉市内の小・中学校で語り部として、横浜大空襲の被害の様子や戦争の悲惨さなどを伝え続けている。
13歳で空襲体験
小野さんは横浜市立第一女子商業学校2年生だった13歳の時、横浜大空襲に遭った。学校からの帰宅途中、B29から投下された焼夷弾によって瞬く間に辺り一面火の海となり、呆然と立ち尽くしていたところを青年に助けられたという。「彼は東京の大学生で空襲を経験していたそうなのですが、今回ばかりは生きて帰れないと覚悟したそうです。彼がポツリと言った『自分だけだったらだめだったかもしれない。この人と出会って自分も生きられたのだと思う』という言葉は一生忘れません」。
いつも一緒だった2人の親友との再会は叶わず、学校が再開しても学友の数は半数になっていた。
その後結婚し、子どもを育てながら自身の体験を手記にまとめた。それを「横浜の空襲を記録する会」に送ったことをきっかけに戦争にまつわる執筆調査活動を開始した。「主義主張に縛られず、とにかく『戦争を繰り返してはいけない』という思いでこれまでやってきた」という。
小野さんは「先輩たちがだんだんと少なくなってきたなか、こうした取り組みは素晴らしいと思う。皆さんが興味を持ち、平和を願うきっかけとなれば」と話していた。
DVDは各学校で総合教育等に活用されるほか、市内の各図書館、市役所の文化人権推進課で借りることができる。
問い合わせは【電話】0467・61・3870同課へ。
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