JR大船工場の閉鎖から10年以上にわたって「塩漬け」となってきた引き込み線跡地の利活用が、本格化しそうだ。鎌倉市は今年3月、JR東日本と跡地の購入に関する契約を締結。現在、JRによる枕木やレールの撤去作業などが続いている。今後について市は「周辺道路の拡幅や交差点の改良などを検討したい」としている。
JR大船工場(閉鎖時の名称は鎌倉総合車両センター)は戦後すぐの1945年12月、国鉄大井工機部大船分工場として、市内寺分や梶原にまたがる立地に開設され、車両の修理や検査などを行ってきた。52年に大船工場に改称し、87年には国鉄の民営化によりJR東日本に継承された。
引き込み線は車両を工場へ運ぶために使用されていたもので、大船体育館付近から三菱電機鎌倉製作所の敷地内を通り、同工場へとつながっている。全長約2Km。
検査業務の縮小により、同工場が約60年におよぶ歴史に幕を閉じたのは2006年3月末。以後、役目を終えた引き込み線は、10年以上にわたって放置された状態が続いている。
この間、富士見町町内会が09年に策定した「自主まちづくり計画」に「公園・緑地が少ない富士見町町内会では、まちづくりの重要な用地となることが期待される」と盛り込むなど、周辺住民からは跡地活用を求める声も上がっていた。
そして具体的な検討が始まったのは、2011年にJR東日本が市に対して跡地の売却を打診したことがきっかけ。その後、両者による交渉が続けられた結果、16年6月、市とJR東日本、また一部敷地を引き込み線が通る三菱電機との間で、跡地約1万7000平方メートルの取得に関する覚書が締結された。今年3月には市がJR東日本と、2億2000万円で購入契約を結んだ。
5月からJRによるレールや枕木の撤去などの工事が始まっており、年末までに完了する予定という。
交差点改良など検討
今後の活用については、「目違い」となっている鎌倉武道館前の交差点の改良や道路の拡幅、また湘南モノレール富士見町駅周辺で不足する駐輪場やポケットパークとして整備することなどが検討されている。
市公的不動産活用課は「周辺住民とも話し合いながら具体的に決定していきたい」と話している。
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