旧町立図書館を耐震改修して学童保育施設として利用しようという鎌倉市の計画が、岐路を迎えている。市は市議会12月定例会に設計を修正するための費用を盛り込んだ補正予算案を提出したが、議員からは工事後に発見された腐朽により多額の費用がかかること、現状の計画ではバリアフリーに対応できないことなどを理由に反対する声があがり、関連する費用が削除された。市は「2月議会に改めて方針を示す」としているが、2021年7月とする開設時期がさらに遅れることは確実だ。
鎌倉市は御成小学校に隣接する場所に建つ旧町立図書館の建物を耐震改修したうえで、学童保育施設(仮称)おなり子どもの家として活用することを目指している。
この建物は1936年、篤志家・間島弟彦の資金提供により建設され、現在の中央図書館が完成した後は教育センター事務局などとして利用され、14年に耐震性能不足などの理由からいったんは解体が決定した。
しかし市民団体から保存を望む声があがったことや専門家による診断をもとに、保存・活用が決定。昨年3月には耐震改修工事に着手した。
ただ工事が始まると、土台の木材などに想定以上の腐朽が見つかり、同年6月以降工事はストップしたままになっている。
そこで市は「設計の修正が必要」として関連する費用1070万3千円を盛り込んだ補正予算案を、市議会12月定例会に提出した。
昨年12月21日の市議会本会議では3人の議員から、激しい腐朽のため改修に4億400万円という多額の費用がかかること、当該地は1〜2m未満の津波浸水が想定されていること、エレベーターが設置できないなどバリアフリー対応ができず車いすの児童の利用に制約があること、今後、事前に腐朽を発見できなかった事業者等への損害賠償が必要となった場合には、証拠保全の必要からさらに完成が遅れる可能性があること、などの理由で「一日でも早く誰もが安全安心に過ごせる施設とするために、軌道修正する必要がある」として、関連する費用を削除する修正案が提出され、賛成多数で可決された。
これにより当初の計画より2年3カ月遅れとなる21年7月と見込んでいた子どもの家の開設時期は、さらに遅れることが確実となった。
市こども支援課は「現在協議を進めており、2月議会に改めて方針を示したい」とする。
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