鎌倉市は8月3日、逗子市、葉山町とともに進めているごみ処理広域化に関する実施計画を策定した、と発表した。このなかでは生ごみ資源化施設について、これまで候補地としていた今泉クリーンセンターの文言を削除。計画への反対意見が強い地元に配慮したかたちだが、実質的な候補地であることは変わっておらず、説明を受けた市議会議員から「あいまいで不備のある計画だ」などの意見が出された。
鎌倉市と逗子市、葉山町によるごみ処理広域化の検討が始まったのは2016年5月。検討協議会を設置して、計画の策定を進めてきた。
19年11月に実施計画の素案が発表され、12月には鎌倉商工会議所で市民説明会が開催された。その後、今年1月6日から2月5日まで、パブリックコメントが実施され、市内では50人から意見が寄せられた。
これらをもとに策定されたのがごみ処理広域化実施計画で、20年度から29年度までの10年間を計画期間としてごみ減量や資源化施策、各市町が担うごみ処理の役割などが記載された。
特に素案から大きな変更があったのが、生ごみ資源化施設の候補地に関する明確な記載が削除されたことだ。
生ごみ資源化施設は、微生物などの働きでごみを分解し、残りも肥料として利用できるもの。24年度末に名越クリーンセンターが焼却を停止した後、逗子市の施設で鎌倉市の可燃ごみを焼却する際には、持ち込む量を年間1万トン(現在の排出量は約3万トン)程度にまで減らすことを目指すとしており、その切り札として素案では今泉クリーンセンターの敷地に24年度中をめどに整備することが盛り込まれた。
しかし約半世紀にわたって市内のごみ処理を引き受けてきたことや、同センターの焼却停止後に設置された中継施設の臭気の問題もあり、近隣住民の間には根強い反対意見がある。
今泉、今泉台、岩瀬の近隣3町内会は7月20日、「計画の白紙撤回」を求める要請書を松尾崇市長に手渡していた。
「今泉」の文言削除はこうした地元の意見に配慮したもの。ただ実質的な候補地としての位置づけは依然として変わっておらず、市環境部では「計画について丁寧に説明して地元の理解を得たい」とする。
これに対して同日、計画の説明を受けた市議会議員からは「候補地を明記できないのでは計画として不備がある」などの意見が出された。
今泉町内会の高橋育雄会長は「候補地が今泉しかないという状況からは一歩前進と感じている」と話した。
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