「子どもたちに、左官の仕事を知ってほしい」と鎌倉左官業組合(馬瀬和晃組合長)が1カ月以上かけて行ってきた腰越小学校のトイレ改修が10月14日、完成した。最終日は児童も参加し、漆喰を壁に塗る体験をした。
完成させたのは、腰越小グラウンドにあるトイレ。きっかけは、児童が行う職業体験のための打ち合わせから。同組合では中学生対象の職業体験は行ってきたが、小学生は今回が初めて。中学と同様に座学1時間、塗装体験1時間程度の職業体験と考えていた組合に対し、同小学校から「老朽化したトイレの外壁を子どもたちと一緒に塗り替えてほしい」と提案があった。
馬瀬組合長は「簡単な作業ではないので断ろうと思ったが、組合員らと話し合い、子どもたちに左官の仕事を知ってもらい、将来、左官を目指す子が誕生すれば」という思いで引き受けた。
作業は9月から毎週日曜日に組合員が集まり、古い外壁を剥がしたり、下地作りなどを行った。「古い壁の上に新たに塗っても、すぐにダメになってしまう。塗装する下地の下にも強化材などを入れて、今まで以上に丈夫になったのでは」と同組合。作業は組合員3〜5人が順番で参加し、1カ月以上かかった。「予算もないので、塗料メーカーにもお願いして、材料を提供してもらった。子どもたちに、『大人もがんばってるんだぞ』と分かってもらえればね」と馬瀬組合長。
児童たちも、9月から準備を開始。腰越らしく、江の島と江ノ電をモチーフにした外壁のデザインを完成させた。
14日の塗装体験では、児童たちは組合員の指導を受けながら色とりどりの漆喰を塗っていった。最初はコテとコテ板の使い方に悪戦苦闘していた児童も、次第にコツをつかみ、手際よく作業できるように。組合員たちも「上手いものだね。すぐに親方になれるよ」と笑ってアドバイス。6年生の岩山千草さんは「大変だったけど、うまくできたと思う。絵を描くのが好きなので楽しかった」と話した。
腰越小の杉並伸也校長は「組合員の皆さんに感謝しかない。子どもたちには大人に支えてもらっているとわかってもらえれば。成人式では、みんなでここに集って懐かしんでもらえれば」と語った。
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