南足柄市教育長に就任した 府川治三(はるみ)さん 開成町在住 61歳
環境づくりで人づくり
〇…10月1日付で南足柄市教育長に就任した。前教育長の辞任を受けて引き継いだ、5カ月間の残任期間を務め上げての再任。「教育に関する課題が様々にあり、保護者の学校に対する期待や信頼も大きい。学校・家庭・地域が三位一体となり、子どもたちが安心して楽しく学べるような教育環境を整えて成長を見守りたい」と思いを語った。
〇…山北町出身。新任教師として三保中学校に着任して以来40年以上、足柄上地域の教育に携わってきた。その中でも南足柄市は、若い頃10年ほど暮らしたことのある思い出の地だという。教職を志したきっかけは、小6の時に出会った恩師の存在が大きい。「子ども達の自主性を大切にしてくれる人でした。卒業時に頂いた『至誠と温和は最後の勝利者なり』という言葉は、今では座右の銘です」と笑顔を浮かべる。恩師とは今も交流があり、教育長室に飾られた数々の色紙の”書”も恩師の手によるものだ。その中の『環境は人をつくる』という言葉は、初めて赴任した中学校の校長の言。「その時はぴんと来なかったけれど、やがて実感しました。学校も家庭も同じ。きちんと環境を整えてあげれば、子どもは立派に育ってくれます」。
〇…中学校赴任時はバレー部の顧問として、時に寝食を忘れるほどの熱血指導にのめり込んだ。「厳しい指導をしていたが、生徒たちもよく耐えて強くなってくれた。先日、当時の教え子たちが退職祝いを開いてくれたんです」と照れ笑いを浮かべる。生徒たちが成長した姿を見るのも教師の醍醐味の一つだ。
〇…野球少年だったこともあり、今も壮年野球チームに所属する根っからのスポーツマン。他にも料理や園芸など多彩な趣味を持つ。料理の評価役はもちろん奥さんだ。「どれも楽しくて気分転換になるけれど、最近は時間がなくて」。苦笑いを浮かべる優しいまなざしは今、地域の子どもたちへ向けられている。